ノラガミ 〜 桜の咲く頃に 〜

□記憶
1ページ/3ページ

…私がそなたの側にいよう。





(本当?)




ああ…約束だ…







約束…。





…い。



おい‼



「おい‼起きろ‼白音‼」



はっ…

「きゃあああああぁぁぁぁっ‼」


ぱあんっ‼



「ちょっとぉ、なぁに?朝から騒がしいわねぇ…あら。」





目が覚めると至近距離で夜トの顏があった。あたしは思わず夜トの顏を引っ叩いていたのだった。


「…ごめんなさい。」

もう何度謝った事だろう。
夜トは全然機嫌を直してくれそうにない。

「あっははは‼あんた達、ほんっと可笑しい‼まさか夜トに寝込みを襲う趣味があったとはね。んー妬けちゃうわあっ☆」


「ぶあっかやろう‼どう考えても起こしに行っただけだろうが‼大体、何遍起こしても起きねぇ白音が悪りぃだろ!」

「ごめんなさい…」

夜トの左頬にはあたしが付けた手形が今もしっかり残っていた。


でもまさか、夜トがあたしの両頬を両手で抑えるような起こし方…夜トじゃなくても普通はしない。
だから余計にビックリしたのだ。


「ま、夜トも女子の寝床にノコノコ行くもんじゃあないわよね♩」

「…(怒)」

その一言を言い放ち、剛音は一人先を走って行った。
あああ…頭が痛い。




「…おい、白音。」

「は、はいっ‼」

「お前…何かあったか?」

「えっ…」

「随分うなされてたけど…変な夢でもみたんじゃねぇの?」

「夢…」

そういえば、何か見たような気がする。でも、全然思い出せない…

「全然…思い出せないです…。」

「ふーん。そっか。ま、何もないならいーけど。」

「…。」

「ちょっとぉ‼早くしなさいよぉ‼遅れてるわよぉ‼」


「うるせーっっ‼」

そう言って夜トも走って行った。


夢…夢…





何か大切な事を



(約束だ)







あたしは約束していた…?
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ