ノラガミ 〜 桜の咲く頃に 〜
□記憶
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…私がそなたの側にいよう。
(本当?)
ああ…約束だ…
約束…。
…い。
おい‼
「おい‼起きろ‼白音‼」
はっ…
「きゃあああああぁぁぁぁっ‼」
ぱあんっ‼
「ちょっとぉ、なぁに?朝から騒がしいわねぇ…あら。」
目が覚めると至近距離で夜トの顏があった。あたしは思わず夜トの顏を引っ叩いていたのだった。
「…ごめんなさい。」
もう何度謝った事だろう。
夜トは全然機嫌を直してくれそうにない。
「あっははは‼あんた達、ほんっと可笑しい‼まさか夜トに寝込みを襲う趣味があったとはね。んー妬けちゃうわあっ☆」
「ぶあっかやろう‼どう考えても起こしに行っただけだろうが‼大体、何遍起こしても起きねぇ白音が悪りぃだろ!」
「ごめんなさい…」
夜トの左頬にはあたしが付けた手形が今もしっかり残っていた。
でもまさか、夜トがあたしの両頬を両手で抑えるような起こし方…夜トじゃなくても普通はしない。
だから余計にビックリしたのだ。
「ま、夜トも女子の寝床にノコノコ行くもんじゃあないわよね♩」
「…(怒)」
その一言を言い放ち、剛音は一人先を走って行った。
あああ…頭が痛い。
「…おい、白音。」
「は、はいっ‼」
「お前…何かあったか?」
「えっ…」
「随分うなされてたけど…変な夢でもみたんじゃねぇの?」
「夢…」
そういえば、何か見たような気がする。でも、全然思い出せない…
「全然…思い出せないです…。」
「ふーん。そっか。ま、何もないならいーけど。」
「…。」
「ちょっとぉ‼早くしなさいよぉ‼遅れてるわよぉ‼」
「うるせーっっ‼」
そう言って夜トも走って行った。
夢…夢…
何か大切な事を
(約束だ)
あたしは約束していた…?