神立アスガルド学園高等部!

□世界観・用語説明
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* 世界観〜学園創設に至るまで〜 *


※分かり易い様に脚色を施しているので、細か過ぎる部分は省略しています。
※オリジナル設定も多数含みます。実際の北欧神話とは異なる点もありますのでご了承を。



<序章:転魂の法と輪環の法>



世界は炎の大地と氷の大地しか無かった。
二つの大地は互いに長い年月をかけて干渉し、其処から出来た霜が或る日一柱の巨人を創り出した。
原初の巨人ユミル。
彼は一人ぼっちだった。長い年月を暫く一人で過ごしたが、二つの大地はまた生物を創り出した。
氷の雌牛アウズンブラ。
一柱と一匹はまた暫く長い時間を過ごしたが、アウズンブラの舐めていた岩から新たな巨人ブーリとボルが産み出された。
ブーリとボルは仲間を増やそうと交わり、―――そして世界には三人の神と呼ばれる存在が生まれた。

その内の一人が後にアース神族を束ねるオーディンである。
オーディンは二人の兄弟と共に原初の巨人達に支配された世界を変えようと、強大な力を以ってしてユミルを殺害する。
ユミルの巨大な身体は九つの世界の礎となり、血は海に、肉は大地に、骨は九つの世界を区切る塀に……こうして世界は創造された。
オーディンとその兄弟達は様々なものを創造した。
世界、同胞、人間―――そうして時代は進んでいく。


「世界樹ユグドラシルと神界アスガルド」


**********


神々はそれぞれの見解や意思に合わせていくつか分裂した。
その中でも勢力が大きかったのはオーディン率いるアース神族、強大な力を持っていた為に長を押し付けられたスルト率いるヴァン神族。
互いの神族は小競り合いこそあったものの、比較的良好な関係を保っていた。
神々の敵は同胞や人間に危害を齎す巨人であって互いではない。その意見が一致していたからだ。
そんな関係は一人の魔女によって大きく動いた。
黄金と悦楽を司る巨人の魔女グルヴェイグ。
明るく奔放で性に開放的な危険な力を持つ彼女に、スルトは一目惚れをする。
しかしオーディンが抱いていたのは、猜疑心であった。

オーディンの心配事を余所にスルトとグルヴェイグはその仲を深めていく。
しかし、突如雪崩れ込んで来た巨人と魔獣達との神々の戦"原始の戦争"の途中でグルヴェイグの様子が豹変する。
気が狂ったように咆哮を上げ、その姿は醜く変貌していく。
スルトは前線に出ていて彼女の様子を知る由など無かった。
己が身と同胞に危険が及ぶと判断を下したオーディンは神槍グングニルで彼女を貫いた。

原始の戦争は神々の勝利で幕を閉じる。
しかし凱旋と共に帰ったスルトを待っていたのは愛する者の亡骸だけだった。

「何故グルヴェイグを殺したッ!!」
「彼女は力を暴走させていた……こうするしか、無かったんだ!!」

オーデインの言葉は、激昂のスルトには届かない。ただ塵となって風に飛ばされて行く亡骸を前に涙を零すだけだった。

「……友で在ると、そう思っていた。だが、たった今貴様は俺の敵と成った」
「違う!!私はただ醜く変貌した彼女を、お前に見せたくなかったんだ!!」
「謝罪も言い訳も要らぬ。友で在った男が次は敵と成るだけの話だ。覚えていろ、オーディン」

"俺は必ず貴様等アース神族を滅ぼしてやる"



たった一人の魔女の死が、平穏であった神々間を激化する争乱へと導いて行く。
幾度目かの戦争。
多大な犠牲。
後に「ヴァルアルス大戦」と名称のついた争乱は互いの神族の膨大な疲弊と神々の敵である巨人と魔獣の侵攻により停戦が結ばれた。
ヴァン神族からは人質としてニョルズ、フレイ、フレイヤが……アース神族からはヘーニルとミーミルが。
人質交換によりこの争乱は終わった筈だった。―――スルトの裏切りによりミーミルが惨殺されるまでは。



**********



オーディンにより沢山の力有る神々が集い始めた。
全ては死したミーミルの首が詠む"予言"に沿って。
何れ訪れる世界の終末「ラグナロク」。
アース神族とヴァン神族、そして巨人と魔獣とが入り混じった最期の争乱だった。
出来うる限りの手は尽くした。それでも終末は無慈悲に同胞を血の大地へと葬っていく。
背を合わせた親友も、共に戦った仲間も、次代を担う筈の子供達も、皆死んでいく。

もっと道は在った筈なんだ。
終末を回避する方法が……終末を生き残り新たな世界を紡ぐ方法が!!

オーディンは自らの全ての力を使い、二つの魔術を発動させる。
「転魂の法」終末にて命を落とした神々の魂をミッドガルドの人間へと転生させる事で存在を保たせる魔術。
「輪環の法」記憶を保持したまま全ての時間、時空を捻じ曲げ現在と過去を繋げる魔術。
来る日が訪れるまで、失った力を取り戻すまで……暫し人としての生を歩み、そして。


改めて迎えに逝こう。
もう一度、誰も死なない未来の為に。





ここから本編へと繋がります。
本編





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