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□もしも仁王君が猫になったら
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参謀だからと油断しとった
そうだ、参謀には”乾”という恐ろしい男と縁があったんじゃった

だからと言ってこれはありなんか?
どうして俺…

「猫耳生えとるん…」




もしも仁王君が猫になったら




「こんにちは…って仁王君!?煤v
「おー、柳生か。見てみんしゃい。この姿。ほんに、最悪ぜよ」

俺は部室に入ってきた柳生にくるりと回って姿を見せてやった
今の俺は猫耳と尻尾が生えている所謂”猫化”をしてしまったらしい

「でも、どうして…?」
「いや…それがな…」

俺は部室に入ったら誰もおらんかった
一番乗りだと思って準備を始めようと思っとったら机の上に水の入った紙コップがあった

その時に喉が乾いとったのがいかんかったんじゃ…俺はそれを一気に飲み干してしまったんじゃ
味はまったくなくてただの水だと本気で思って何も気にせんと着替え始めたんじゃが…

「いきなり気を失って倒れてしまったぜよ」
「なるほど…で、その紙コップは今どこに?」
「あそこじゃ」

俺は机の上を指さした
俺が飲み干したままになっている

「ふむ…これですか…って仁王君、ちゃんと傍に柳君からのメモが置いてありますよ!!」
「え、マジで」
「はい、マジです!!(今、標準語になりました!?)」
「で、なんて書いてあるん…?」
「えっと…危険、飲むな…だそうです」
「…ほんに、メモ程度じゃな」

俺はがっくりと肩を落とした
一体、この姿でどうしろというのだ
そもそも、何故こんなものが部室に置いてあるんじゃ
しっかり管理しとけ参謀め

俺は部室にある一番でかい鏡の前に立ち自分の姿を眺めた
本当にまるで猫が人間になったかのように耳と尻尾が付いている
しかも、これは飾りではなく自然に動いてしまうのだ

「仁王君」
「にゃっ!?」

急に声をかけられて驚いてしまった
それと同時に尻尾がぴんっと伸びてしまった
それに、さっきの声…

「あぁ、すみません。驚いてしまいましたか?」
「急には驚くに決まっとるじゃろ…」
「にしても、今の声本当に猫の様でしたね」

口を手で押さえて笑い始める柳生に無性に腹が立った
こっちはこんな姿になって困っているのに!

「ええから!早よ元に戻る方法を探すぜよ!!」
「と言ってもやはり元の水が無いことにはわからないし…ここは柳君が来るのを待ちましょう」
「おん、そうじゃな」

俺は椅子に座った

(ユラユラ)
「…」
(ユラユラ)
「…」

さっきからちょろちょろと揺れる尻尾が視界に入る
そして、なんじゃ…この感じ…
妙にむずむずする…

(ユラユラユラユラ)

今すぐにでも飛びつきたい…っ!

「にゃうっ!!」
「仁王君っ!?」

これが猫の本能なのだろうか
俺は自分の尻尾を捕まえようとじゃれ始めてしまった
好きでやっているわけでもないしもちろんわざとでもない
勝手に体が動いてしまうのだ

「にゃあっ、にゃ…にゃあ!!」
「に、仁王君がまるで猫みたいに…」
「ふにゃあっ!!」

俺は椅子を降りて尻尾を追い掛け回した
つまりぐるぐる回ってしまっているのだ
尻尾を追いかけて
届きそうで届かないもどかしさと追いかけたくて仕方ない衝動に意欲がどんどん掻き立てられていく

「はい、そこまで」

すると急にふわっと体が浮いた
柳生が俺を抱き上げたのだ

「仁王君、遊ぶのはいいですがそれではけがをしてしまいます」
「にゃあ…」
「そんな耳を垂らして…可愛らしいですね…」

柳生は微笑みながら俺を撫でてくれた
さっきから言葉が話せなくなってきてるのは水のせいなんだろうかにゃあとしか声が出せない

「そんなに可愛いと食べてしまいたくなりますね」
「ふにゃっ!?//」
「おやおや、赤くなって…まるで林檎みたいですよ?」
「にゃ、にゃあ!!///」
「もう少し…このままでいましょうか?柳君に頼んで」

ニッコリという効果音が聞こえてくるほどの笑顔でこの似非紳士は微笑んだ

面白がってるんじゃなかっ!!

そして俺は柳生の猫となってしまったのであった…



つづく(かも)

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