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□ただの寂しがりなんです
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「俺が死んだらどうする?」

仁王君が唐突に言い出した

「そんなの死んでもお断りです」

「例えじゃ、例え
で、どうする?」

「そうですね…泣きますかね」

「お前さんが?」

「ええ。私が」


人に聞いといてこの態度

いったいこの人は
何を考えているんだか…


「ふーん…、じゃあ
死んでみようかのぅ」

「は?」

「お前さん、俺のために
泣いてくれるんじゃろ?
じゃったら、死んでみても
ええと思うんじゃよ」


ほっといたら本当に
死にそうですけどね、

野垂れ死にとかで


でも、そんな
理不尽で君が私の前から
いなくなるのは困るので

ちゃんと止めるには止めますよ



「仁王君」

「ん?」

「寂しいなら、はっきりと
そう言いなさい」

「…ピヨッ」



抱きしめてやれば
何もできない小心者ものが

もう一度言ってみなさい
死にたいと

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