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□君と僕の距離
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横顔はもう見慣れた

正直、同じ男に使って
良い言葉なのかはわからないけど

仁王の横顔は凄く綺麗だ



「あのさ、仁王」

「ん?」

俺は首を傾げる仁王に近付く

図書室の隅

二人だけの空間

「綺麗だよね、ほんと」

そう言って俺が笑うと
仁王はそっぽを向いて
あっそ、としか言ってくれない

だけど、耳の辺りが
ほんのり赤いことに気付いたら

俺はなんだか可笑しくて
笑っちゃうんだよ


「仁王、可愛いね」

「ピヨッ」


そう言って誤魔化さないで
素直に笑顔を見せてくれればいいのに




俺はそっと本を置いて
窓際にいる仁王に近付く



あれ?

「なんか違う…」

俺は仁王の頬にそっと触れた

「何じゃ、」

「さっきのと違うんだ」

「え?」

「さっきの綺麗さと
今の綺麗さ…同じ仁王なのに
違って見える」

「…ふーん、変なの」

そう言って仁王は
少しはにかんだ笑顔を見せた




あ、そっか
あの距離だったから、か


(君に近付いてまた増えていく綺麗な君)



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