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□風邪っぴき
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どうしてじゃ…

何故…




「おい、比呂士調子のんなよ」

「何を言ってるんですか、丸井君
仁王君の恋人は私ですよ?
何か問題でも?」

「二人とも煩いよ
仁王、ほらあ〜ん」

「あっ!幸村部長、抜け駆けはズルいっス!!
あーんなら俺がしますから!!」

「おい、お前らいい加減にしねーと真田が…」

「貴様らやかましいぞ!!
病人が寝ているだろう!!」

「弦一郎が一番煩い確率100%」

「ふーん、真田…俺に向かって
いい度胸だね」(ニコニコ)

「い、いや…幸村…
これはだな…」

「イップス、決定☆」

「キェェェェエ!!」



「お前ら少しは黙りんしゃい!!」




俺は柳生に頼んだのに!!






ことの始まりは
俺が柳生にやったメールだ


──────────
from.愛する仁王君
──────────
風邪引いた
アイスほしい


──────────


俺は柳生だけに頼んだつもりだった

あわよくば、柳生に
看病されたい…なんて
乙女心を抱いて…

だが、しかし
送ったタイミングが
いけなかったのだ



学校が終わった時間を
見計らって送った

それはいいんだ
いや、むしろそれが
こんな悲劇を招いた

そう、学校が終わる時間
つまり、部活が始まる時間

すなわち、レギュラーが
柳生の近くにいるわけで
タイミング良くきたメールが
タイミング悪くレギュラー全員に見られてしまったわけだ

そして、その結果
全員家へ見舞いに
くることになった(らしい)



「本当に良い迷惑じゃ」

俺は柳生だけを呼んだつもりなのに

「でも、嫌じゃないんだろう?」

幸村はクスクスと笑って
柳生と丸井を退かして
俺が寝ているベッドの傍に座った


「騒がしくする奴は嫌いじゃ」

俺がそう言うと
一斉に声を出すのをやめて
お互いを睨み付けていた

「なっ、なんじゃ急に…
黙りよって…気持ち悪い…」

「仁王君は私”だけ”を
呼んでくださったんですよね?」

そう言って恋人の柳生が
顔を近付けてくる

「ちげーよ、比呂士だけじゃなくて
レギュラーみんなだよ」(抜け駆けなんてさせねー)

そう言って丸井まで
顔を近付けてくるから
俺の視界は顔しかなくなった

「もーっ!!俺は病人じゃ!!
いい加減普通に寝かせてくんしゃい!!」

俺が布団を被ると
どこからかチッと
舌打ちが聞こえた

あとで舌打ちした奴は
幸村に頼んで
イップスしてもらおう



そんなこんなで
レギュラーたちの見舞いが
済むわけがなかった



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