残り物

□情報の恋違い
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「私、昴に告白したの。」
突然、目の前が真っ暗になる。衝撃が大きすぎる。
昴は…私の彼氏。私達が恋人であると報せていないから告白したのだろう。まさか好きだとは予想もしなかったけど。…違う。思い当たる事はいくつもある。話題に昴の名前はたくさんでてきていた。私が現実を見たくなかっただけ。ちゃんと警戒しておけばよかった。
「咲?ところで咲の好きな人は誰?」
「あ…四組の彰だよ!」
嘘をつく私。一部の人以外に知られない為に皆に嘘をついている。
「ごめん!用事があったの思い出したからまた後で話すね!」
「了解!」
そのまま私は自分の教室を出る。そしてその足は親友の元へ―
「優!」
私は何かある度に優に相談をしている。そしてさっきまで結と話していた事を話す。
「いっそやめちゃえば?前から言ってるじゃん!昴が彼氏なんて咲が勿体ないって。あんな男よりも良い人いるよ。」
「だから!私は昴がいいの!…でも不安なんだよね。結はかわいいから取られちゃう気がするし、昴は私のメールは無視してるのに結とはメールしてるし。」
これではまるで結と昴が恋人みたいだ。
「ちゃんと話してみたら?今日の放課後とかにさ。」
「うん…ありがと、優。」
「私にかかればどんな悩みも解決するよ!良い結果を待ってるね。」
優に心から感謝をして放課後を待つ。

-放課後-
『昴の家の近くの公園に来て。大事な話があるの。』
昴にメールをして五分後、昴は来た。やっぱりメールを見てるって事らしい…。
「話って何?」
「私と結。どっちを選ぶの?自分に素直になった上での答えが聞きたい。」
昴は知っているのかという苦い顔になった。
「メールを無視し始めた時と結が告白した時が重なってるの。何か関係があるの?」
何を言っても昴は黙ったまま。私は付き合い始めた時は不安でたまらなかった。昴の魅力に誰かが気付いてその人の元へ昴は行ってしまうのではないかと思っていた。でも昴は「大丈夫。どこにも行かないよ。」と言ってくれた。それで私は油断してしまったんだ。昴の魅力に気付いた人が近くにいたのに……。
でも、結と昴はお似合いだと心の奥底で思っている。
「結の告白は断ったし、メールは携帯が壊れてて返信できなかったんだ。さっき久々に携帯を開いたらメールがたくさん来ててびっくりしたよ。」
「そうだったの!?じゃあ別に私の事嫌いになったわけじゃない?」
「あぁ。そうだよ。ったく…お前はすぐにネガティブに考えようとするよな。約束する。絶対に咲を嫌いになったりしない。」
……そんな恥ずかしいこと言われたら困るからやめていただきたいデス。でも嬉しいのは事実。
「ありがとう…大好き!」
「あぁ、俺も…だ。」
“好き”と言ってくれるのかと思ったけど昴は言ってくれなかった。
「昴は“好き”って言ってくれないの?」
「い…言えるわけないだろ?そんな恥ずかしい言葉…」
目が合ってしばしの沈黙。
「「……っぷ!」」
二人で同時に吹き出した。その後ずっと一緒に笑い続けていた。







『ずっと――このまま二人で一緒にいたい―――――それが二人の幸せの形であるならば――』

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