K (猿美中心)
□俺だけを見ていろ
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いつだってお前は俺の傍にいると思ってた。
中学の時から2人だけでつるんで馬鹿やって、俺の傍にはお前が、お前の傍には俺がいるのが当たり前だった。
ひょんなことがきっかけで入った吠舞羅でも、お前の笑顔は俺だけに向けられると思ってた。
「尊さん!尊さん!」
俺だけに向けていた満面の笑顔を浮かべてお前は尊さんに駆け寄る。
「ちょ、十束さん…!」
ワーワー騒いで他の奴にもまた笑顔を見せる。
「勘弁して欲しいッス、草薙さん〜!」
クルクルと変わるお前の表情を知っているのは俺だけだったのに。
すぐ傍にいた赤みがかった茶髪が今は遠い。
遠くて他の奴らの前で笑ってる。
それがすげぇイラついた。
誰にも言わずにバー出た。
「…猿?」
美咲の声が聞こえた気がしたが、俺は振り返らなかった。