二輪の舟と風便り

□冬の章〜すれ違い輪舞-ロンド-  side aokiji
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何であんなガラにもないことをしたのか。

そんなこと今更どう思っても仕方がない。

あの戦いで得たものは、大きな傷跡と虚しさだけ。












冬の章〜すれ違い輪舞-ロンド-  










side aokiji










雪の降りしきる街中を歩く。
降り始めて未だ間もないのに、すでに辺りは白くなり始めていた。
寒さのせいもあいまって人通りは少ない。
雪をしのぐため馴染みの店に入ると、皆一瞬こちらを見、そして目を逸らした。
別に名乗ったわけでもなかったが、自分の正体に気づいている者も少なくない。

元海軍大将・青雉。

今はただのクザンだが。
まぁ、その名前を知っている者の方が少ないだろう。
カウンターに座り、昔の師が好んで飲んでいた酒を頼む。

冷えた体には酒か女に限る。

何度か来るうちに顔なじみとなったマスターが酒を並々と注いでいく。
そんな様子を横目に、窓から見える白い雪をぼんやり眺めていた。
すると、マスターは酒の入ったグラスを差し出しながら言った。



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