平助の母親

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☆★家族の門出★☆QLOOKアクセス解析





オレと千鶴が座る、
いわゆる新婦側の席の壁と、教会の正面奥の壁は、
グアムの青空とキレイな海が一望できるガラス張りで、

そのキラキラと降り注ぐ太陽の光と水に反射した光に囲まれた中で進められたかぁちゃんの結婚式は、
そんなの全然興味のない、
むしろ、自分の親のキスシーンなんて見たくもねぇなんて思ってたオレでさえ、千鶴と同様に見とれてしまうくらい綺麗だった。


牧師さんに渡された指輪を二人でそれぞれの指に付ける時も、
かぁちゃんの顔にかかる薄いベールをそっと上げて綺麗に後ろに流す時も、
誓いのキスをする時にかぁちゃんの肩にそっと手を置く時も、

土方先生の手は、どの動作も全部、かぁちゃんを大切に扱ってるっていう感じがして、
絶対見たくねぇって何度も思ってたくせに、
多分、一番近くの席で、一番真剣に見ていたのはきっとオレだと思う。

かぁちゃんのちょっとあごを上げた横顔にそっと近づく土方先生の横顔。
背を屈めてキスをする土方先生がすげぇカッコ良く見えて、マジでドラマとか映画のワンシーンみたいで…。

あんなに見たくねぇって思ってたのに…。

多分、みんなで見た流れ星やイルカと一緒のクルージングなんかよりずっと、
オレの思い出に残る結婚式になったと思う。

それぐらい綺麗で印象的だった…。





「平助!千鶴ちゃん!」


式が終わって祭壇を背にしたかぁちゃんと土方先生は、一礼するとそのまま退場していくと思ってたのに、頭を上げたかぁちゃんはいきなりオレと千鶴を呼んで手招きする。



「???」



オレも千鶴もキョトンと目を丸くして顔を見合わせながら、
なんなんだと思いながらおずおずとかぁちゃんのそばまで寄って行くとかぁちゃんと土方先生の間に立たされ四人横に並んで腕を組む。



「家族四人の幸せな未来への門出を祝福して拍手で讃えましょう」



オレらの背後から牧師さんがカタコトの日本語で言うと、校長先生を始め、全員が立ち上がって拍手をする。



「おめでとう!」

「カッコ良かったぜ、平助!」

「名前ちゃぁ〜ん!!!」



校長先生のでっかい声が上がると次々にみんなが拍手と共に声をかけてきて、入ってきた時よりも全然みんなから注目されてて顔が熱くなってくる。

マジで恥ずかしくなってきて、なんだこれどんな晒しもんだよって俯いて足元見て歩いてたら、隣から「二人とも、ありがとね」ってかぁちゃんがポツリと呟いたのが聞こえた。
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