平助の母親
□110.
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お盆休みが終れば、いつも通りかぁちゃんは仕事に行く。
オレも千鶴ももう部活がないから夏休みが終わるまでは家で残った宿題に取りかかる。
千鶴のおかげで宿題は何の苦労もなくやっつけることが出来たけど…。
「平助くん、二学期からが勝負だよ!」
とか言って、いきなり千鶴がスパルタ化した。
正直これからが一番部活とか楽しくなると思ってたから、正直「マジかよ」って思ったけど、
「だって…、一緒の高校行きたいから」
って千鶴が頬っぺた赤くして笑って言うから俄然ヤル気になっちまう。
そんな夏休み。
特に変わりはないけど、
毎週日曜日になると、かぁちゃんは土方先生の車で仕事から帰ってくるようになった。
夏休みだし、もっと土方先生うちに入り浸るんじゃねぇかと思ってたのに意外とそうでもなくて、日曜日の夜だけうちで飯食ってのんびりしたら帰ってく。
「明日も暑いけど頑張ってね」
「あぁ、おまえもゆっくり休めよ」
なんて言いながら玄関に向かって歩き出す二人。
別にオレの前でイチャイチャくっついてる訳じゃないんだけどさ…。なんか見てて恥ずかしくなるっつーかこそばいーっつーか…。
直視できないオレに対して、千鶴はいっつもそんな二人を見て目を輝かせて嬉しそうだ。
「名前さんと土方先生って理想の二人だよね!なんか二人で一つって感じで!」
もう完全に少女漫画でも見てるんじゃねぇかってくらい夢見る乙女になってらぁ…。
かぁちゃん達の指輪をめっちゃ羨ましそうに見てるし…。
やっぱ女ってヤツは好きなのかね、そうゆーもんが…。