平助の母親
□103.
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夕飯作りに取りかかろうとしてはたと気付く。
「そういえばとしくんどうしたかな…?」
朝職場に送ってもらってから、そういえば一度も連絡してないし来ていない。
毎日寝る前に少しだけのやり取りは、もうほぼ日課といっていいくらいにはなったけど、普段の生活の中でそんなに頻繁にやり取りする訳じゃないし、何時間連絡がなくてもそんなに気にすることじゃなかったんだけど…、
「ごはん、どうするのかな…?二人分?」
朝も何の連絡もなくやって来たりするとしくんだから、もしかしたらもう「色々やることはある」って言っていた用事も済ませてすぐそこまで来てるかもしれない。
「連絡してみよ…」
充電器に挿しこんでいたケータイを手に取りとしくんの番号に発信する。
コール音の後に聞こえてきたのはとしくんの声とは違う、女性の声で伝えられる留守電ガイダンス。
「ん?あ、あれ?留守電…?」
どうしたんだろ?
色々やることはあるって言っていたけど、もしかしてお仕事だったのかな?
今もお仕事の関係で誰かと会ってて電話に出れないとか…。
それならきっと食事も済ませるよね。うん。
連絡も繋がらないんじゃ仕方ないし、少しさみしいけど一人で食べるかぁ…。
ケータイを元に戻してキッチンで手を洗う。
自分一人で食べる分だから…、
冷や麦でいっか。