僕のおねえさん

□39.
2ページ/4ページ

QLOOKアクセス解析





やっと空の元へと出てきた私たち。
明るい陽射しに目を細めると、自然に離れて行く土方さんの手。



「お前は…?」

「?」



手を離したと思ったら突然立ち止まり、何かを呟いて振り返られる。



「お前は…、昼飯…済んだのか?」

「え…?い、いぇ、まだ…」

「そうか…」



突然何を聞かれるのかと思ったら…、

人通りを避けるように壁際で立ち止まった私たちの横を人の往来が流れるように交差する。

「そうか…」と言った土方さんは私に向けた顔を上げて横を向き、人の流れを見ているのか、はたまた遠くの空を見上げているのか…。

そんな彼から私も視線を目の前を流れる人の波に向けたところで、「この後の予定は?」とまた声をかけられる。



「?」



見上げてみると土方さんの顔はやっぱり横に向けられててどこか遠くを見ているようだけど、私が疑問符を付けた頭を傾げて見上げたのを感じたのか、チラッと視線だけがこちらに向けられる。



「まだ他に用事あるのかって聞いてんだが…?」

「ぅ、え…?あ、きょ、今日はもうおしまいです!何もありませんっ」



見下ろされた視線と声の低さに慌てて返事を返すと私の返事の勢いが思いがけないものだったのか、キョトンと目を丸くされるけれど次の瞬間には困ったような苦笑いのような、呆れてるような、そんな何とも言えない顔で笑われる。



「そんじゃぁ昼メシ、付き合えよ」



横に向けていた顔を正面に、私の方へ体ごと向き直すと唐突にそんな事を言うもんだから、今度は瞬時に言われた事が理解できなかった私の方がキョトンと目を丸くする。



「……………、ぇえっ!?」

「っ、ぇえ!?って…。」



二人で同じように驚き、驚き返され、
周りから見たらどんな光景なんだろうと思うけど…。

まるで芸人さんのように膝を曲げて若干下がった姿勢を立て直して、その顔にはほんとに面白おかしくて笑ってるっていう笑みを浮かべた土方さんは、くくっと肩を揺らすと「奢ってやるよ」と言って私について来いと言うように背を向けて歩き始めた。



「え?…、ぇ、え…?」



わ、私…、
行くなんて一言も返事してないんだけど…!?

急展開について行けず戸惑ってしまうけど、スタスタと歩き始めた土方さんの背中からはぐれてしまいそうで、土方さんとお昼を一緒するとかなんとか別として、慌ててその後姿を追いかけた。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ