僕のおねえさん

□37.
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☆★お食事会議★☆QLOOKアクセス解析





「ほぉ〜、これはすごいな」

「ねぇ〜?名前ちゃんに包丁握らせたら右に出る人なんていないと思うわよ?」

「ぃ…、いやそれほどでも……、」

「ほぉんとすごいよ。いきなり僕からキュウリを奪ったかと思ったら、ものすごい早さでこの細さに切っちゃったんだから!電光石火っていうの?ホント、人は見かけによらないって言うけど、…名前ちゃん、ホントはものすごい激しい性格なんじゃないの〜?」

「………、」

「しかもこれ、ホントは野菜スティックにするつもりだったんだよ?それなら僕にだってザクザクっとできる事なのに…。よっぽど神業を披露したかったんだね!」

「…………、」




誰かあのよく動く口をつまみ上げてください。

このまま黙って聞いてたら、一体どんな暴露話をされてしまうのだろうか…。
というよりも、今日の総ちゃん、なんだかやたら私に意地悪じゃない?

学校で会った時はそうでもなかったのに、家に帰ってからとか、さっき近藤さんと三人で話してた時もそうだったけど、こうして近藤先生や土方さんがいる時なんて特にっ!
なんなんだろう。なんかいつもの総ちゃんと違うっていうか…。
なんか目付きがこう、鋭さを増してるっていうか、研ぎ澄まされた鋭利な刃物のような…、なんか空気もね、
ヒシヒシと何か…。
う〜ん、

そういえば、こどもの日に集まった時も、総ちゃん、途中からこんな感じだったよね…。
なんかやたら人の揚げ足取るような…、ちょっと上から目線みたいな…。

何故???

総ちゃんの様子に思考を巡らせていると、近藤先生がスープの具をお箸でつまみ上げながら、「そう言えば今日の弁当に付いてたスープもうまかったなぁ!」と思い出したように言ってにっこりと笑った。



「え?お弁当にスープなんて付くんですか?」

「あぁ!あのスープも野菜が盛りだくさんで…、豆と同じくらいの大きさで切ってあるから食べやすかったなぁ!」



意外にもキョトンとした総ちゃんに、満足顔の近藤先生が自慢げに言う。



「弁当の量は俺みたいな大食らいにはもう少しボリュームがあってもいいとこなんだが、あのスープの野菜の多さでうまく満腹感が得られて、食い過ぎて午後の校務に居眠りすることもなく過ごせたよ」

「居眠りって…。」



はっはっは!と笑う近藤先生に近藤さんと土方さんが同時に突っ込むけれど、私はお弁当の貴重な意見としてもっとお話を聞かせて欲しいと思い、ついメモを取る代わりにケータイを取り出して身を乗り出す。



「あの、量はやっぱり少ないですか?」

「んん?…あ、あぁ…、だが今も言った通り、腹八分目の方が午後からの校務も楽にできるし、あれくらいの量がちょうどいいと思うぞ?」

「なるほど…、そうですよね。満腹過ぎても苦しくなってお仕事に支障が出てもいけないですもんね…。ん〜…、あとは…、内容はどうですか?一応うちの移動販売でできる時短メニューとしてああいった丼ものスタイルでご提供する形になってしまうのですが…、やっぱり普通の幕の内みたいなお弁当って感じの方がいいんでしょうか?」



ケータイのメモに『腹八分目!』と入力して続けて質問する。
そんな私を見て「仕事熱心だなぁ」なんて言って笑ってる総ちゃんなんてほっといて近藤先生に熱い眼差しを送る。



「時短メニューか。なるほどなるほど。いいんじゃないか?食べる俺たちも丼ものの方が食事にかかる時間が短くなって一息付く時間もできるし、校務に取り掛かる時間も早くなるしな!なぁトシ!」

「あぁ、いろいろ綺麗に並べてあっても、食っちまえばどれも同じだろう。あんたんとこのやりやすいようにすればいい。それでいいと思うから俺たちも金出して買ってるわけだからな。」



そういうとスープを口に含む土方さん。



「トシ〜…、お前は…、もっと言い方ってもんがあるだろうが…。」

「そうですよ、鬼じゃないんだから…、あ、似たようなもんだけど…。もっと気の利いた言い方できないんですか?」



呆れた近藤先生と何か小声でボソッと挟んだ総ちゃんに文句を言われて「ぁあ??」とお椀から顔をあげてヤクザのような返事をする土方さんは、



「言い方って、んなもん俺は間違ったことは言ってねぇ。むしろやりやすいようにしろって言ってやってんのに。」



と、眉間にシワを寄せる。
そんな土方さんに総ちゃんはすごく残念そうな言い方でまた土方さんを小馬鹿にする。



「あぁ〜ぁあ、もう。そんな言い方しかできないからいつまでたっても彼女ができないんですよ。バカだなぁ」

「っ!?はぁあっ!?総司てめっ!いきなり何言いやがるっ!関係ねぇだろぉがっ!」

「あー、やだやだこわい。たまちゃんあんなおじさん見ちゃダメだよ?こわいねー」

「こあいねー」



ドカンといきなり怒鳴り出した土方さんは確かに怖くてびっくりしたけど、総ちゃんとたまちゃんのやり取りが可愛くってついクスッと笑ってしまう。
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