僕のおねえさん

□36.
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「まさか野菜スティックがスープになるなんてねぇ…」

「ほんと。しかもこの人参の切り方…。素麺みたい…。もやしと卵の存在が際立つ際立つ…」



私の代わりに餃子を包み始めた総ちゃんが、最後の一つに取りかかる頃、
私は持ってきた、野菜スティックになり損ねたキュウリと人参を中華スープに変身させて近藤さんに味見をしてもらっていた。



「本当は箸休めにナムルにでもしようかと思ったんですけど、やっぱり量的に…。なのでスープにしてごまかしてみました」

ちなみにかさ増しとして近藤さんちの冷蔵庫から使いかけのもやしを発見したけれど、やっぱりそれだけじゃ量が足りなくて何故か台所の片隅に積み重ねてあった箱の中のとても新鮮な卵を拝借してふわふわの卵スープにさらに進化させた。


どうですか?と近藤さんに首を傾げて感想を伺うと、バッチグゥー!と親指を立ててウインクまでしてくれた。



「とろみもあって、これならきっとたまちゃんも食べやすくて喜んでくれるわ!なんてったってこの野菜の切り方がね!野菜ソーメンのプロって呼んでもいいかしら!?ねっ!」

「確かに野菜嫌いの子でも、こんなそうめんみたいな野菜だったら喜ぶかもね。スープも卵もよく絡むし。」



総ちゃんも一緒になって味見をしてウン、とにっこり笑った。



「ところで爪楊枝って英語でなんていうんだっけ〜?なんとかスティック…、なんとかスティック?」



何故かこの野菜スティックになり損ねた爪楊枝のように切られた野菜を英語で言おうとしている近藤さん。
突然言い出したようだけど、どうやらずっとそれが気になってたらしいく、思い出すように首を傾げていたけれど、どうにもスティックが頭から離れないらしい。

爪楊枝はトゥースピックですよって言おうとした時、「キャンディーステッキ?とか?」と、近藤さんと同じように一緒に考えるようなそぶりで頭をコテンと傾ける総ちゃん。



「ステッキ?…?ステッキ???てかキャンディーって!それってクリスマスツリーに飾るアレでしょうが。」



一瞬、スティックだかステッキだかワケがわからなくなった近藤さんの表情を見てニヤッとした総ちゃんの口端の動き…!
私は見逃さなかったよ?この子ワルだわ〜!

私が心の中で戦慄の恐怖に身を震わせているのも知らずに総ちゃんはニヤニヤしながらも飄々としている。



「あれ、わかっちゃった?」

「総司くん、私のことおばさんだと思ってバカにしてる?」

「してませーん」

「してるでしょうが!」

「ふ…、二人とも…!そんなことで言い合いしてないで、そろそろ行きませんか?」



二人のやり取りを中断させるのもちょっと勇気が要ったけど、「それもそうね。」と、ころっと表情を変えた近藤さんがおかしくって、声をかけた私の方が一瞬キョトンとしてしまった。




「さ!それじゃあ持って行きましょうか!」



大量の餃子が並ぶトレイを運んでリビングへ移動。
私も先に冷ましておくように、たまちゃんの分だけスープをお椀に注いで後について行った。
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