僕のおねえさん
□35.
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☆★優しさ+心配(?)=ぐしゃぐしゃティッシュのできあがり★☆
「こんばんわー」
インターフォンを鳴らすなり、そのまま近藤さんちの玄関のドアを開けちゃう総ちゃんに些か驚きつつも、その背中について「こんばんわ〜…」と足を踏み入れると、廊下の先からてててっと駆けてくるたまちゃんが姿を現し、続いてなんとなんとの土方さんが飛び出してきた。
「っ!?総司!」
「しょぉ〜おじぃー!」
「あはは、たまちゃん、こんばんわ」
両手を上げて走ってくるたまちゃんに応えると、総ちゃんは持ってきたお皿を素早く背後にいる私に持たせて、腰を屈めて両手を低く差し伸べる。
勢いよく総ちゃんに飛び込んできたたまちゃんを軽々と抱き上げると、高い高いと天井に届いちゃうくらいに持ち上げてギュッと抱きしめて二人とも最高の笑顔で頬ずりしてる。
「たまちゃん、もうご飯食べた?近藤さんは?」
なんて言いながら、土方さんに「どいて」と言わんばかりな態度でたまちゃんを抱っこしたまま廊下を通り抜けてリビングへと入って行ってしまった。
「………、」
放置!
総ちゃん放置!
残された私はお皿を持ったまま総ちゃんの消えた先を見つめて呆然としていて、
総ちゃんが通り抜けた時のままの姿勢で壁に背を付けてリビングの入り口を見ていた土方さんも、私と同じように呆然と固まっていて…。
呆然と二人、そのままでいると、
「あら?名前ちゃん!そんなとこで突っ立ってないで上がってらっしゃいよー」
廊下の奥から顔を覗かせた近藤さんに大きな声で呼ばれて、ドキッとしながらも「あっ!はい、すぐ行きま〜す!」と慌てて返事をして靴を脱いだ。
「し…、失礼します…」
土方さんの前を頭を下げて横切る時も、土方さんは壁に背をつけたままで、その時は早く行かなくちゃって気持ちでそそくさと通り過ぎたけれど、
後から思い返してみたら、なんだか壁にピッタリくっついてる彼の様子がおかしくって、つい台所に入るところでクスッと笑いが漏れてしまって、「なぁに〜?思い出し笑いなんかして〜」とニヤニヤした近藤さんに迎え入れられた。