僕のおねえさん

□29.
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☆★押しに弱いんです★☆QLOOKアクセス解析






ぐったり……。




もうこのひとことに尽きる……。



四時間目の授業が終わったと同時に校舎から押し寄せる男子高校生の勢いに私も島田さんも完全ノックアウト。

先生の注文分が少なかった分、一般のお客様に少しでも買ってもらえたらイイな、とか思ってたのに、一般のお客様が入る隙もなくあっという間に生徒たちの壁に取り囲まれたワーゲンバス。
とりあえず私は大急ぎでハンバーグの残りの数を確認して、島田さんはまるで本物の警備員さんのように生徒の壁を一列に並ぶように誘導させる。

ハンバーグの数とランチボックスの数を確認してどれだけお弁当として提供できるかを島田さんに伝えると、島田さんはすぐさま生徒たちを数えて「今日はここまででーす!」と大きな声で列をちょん切った。

切られた後ろの子達からは物凄いブーイングの嵐だったけれど、みんないつまでも文句言ってる暇はないと、あっという間に校舎の中に駆け込んで行った。


大急ぎでランチボックスに食材を詰め込んで、島田さんとの流れるような連携プレーを確立しつつ、何とかお昼休みの時間を半分以上残して私たちは全てのものを使い切った。
食材もランチボックスも、そして気力も体力も…。



「も…、…もぅ限界です………」

「そうですね…。少し閉めて私たちも何か食べて休憩にしましょう…。」



カウンターにぐったりうつ伏せになる私と、運転席に腰掛けて額の汗を拭う島田さん。
何か食べてって言うけど…、もう食べれるものって言ったら島田さんお手製のあま〜いスイーツだけ…。

疲れた時には甘いものが一番です!
なんて嬉しそうにスイーツをショーケースから取り出してお皿の上にどんどん重ねていっている。どれだけ食べるつもりなんだろ…。やけ食い?



「名前さんもどうぞ!」



にっこりとトングで掴んだエクレアを差し出されて慌てて紙皿で受け取る。



「そ…、それじゃあ…、私ボード裏返してきますね」



エクレアの乗った紙皿をひとまずカウンターに置いてバスから外に出て『welcome』と描かれたメニューボードを裏返して『Sorry, We’re Closed』とイラスト交じりに描かれた面を表に返した。



「名前さん、飲み物は何にしますか?」



イーゼルの前でふぅっと息を吐いて肩を落としているとカウンターから島田さんが顔を覗かせていた。



「えっ?あ…、いえ、いいですよ、私入れます!」



慌ててバスの中に戻ろうとすると「いいですいいです!」と遮られてしまう。



「名前さん、ずっとこの狭い中で頑張ってくださったから少し外の空気の中で休憩してください。ほら、飲み物、どうしますか?」



何だか少し強引な気もしたけれど、島田さんの気遣いが嬉しくて、「島田さんだってすごく頑張ってましたよ」と言いつつ、贅沢にも「それじゃあフローズンカプチーノ下さい!」と注文すると、
「えっ!?フローズンですか!?ちょっと待ってくださいよ?」と、まだドリンクメニューに慣れてない島田さんを慌てさせてしまった。
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