僕のおねえさん
□25.
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☆★桜は散ったが周りは春?★☆
あれから、島田さんがオーダーを取って私がドリンクを入れて、島田さんがお会計をするという流れ作業が自然に出来上がって、なんとか休み時間が終わる前に並んでいた生徒たちを校舎へ帰す事ができたけど…、
絶対あれ残りの時間で飲むなんて不可能だよね?
まさか授業中に教科書の傍らに置いとくなんて、そんなことしないよね…。
なんて私が心配するようなことじゃないのに、ドキドキしながらお弁当の仕込みやランチメニューの仕込みを続ける。
そうこうしていると、道行くお散歩中の奥様や小さな子供を連れたママ友グループ、堤防からジョギングで下ってきたおじいさんが次々と物珍しそうに立ち寄って注文してくれた。
時間のあるような方はドリンクと一緒に島田さんお手製のスイーツも注文してくださったりで、オープン初日にしてはまずまずのスタート。
「初日からいい感触ですね!」
仕込みもひと段落して、車から外に出て道ゆく人にチラシを配りながら島田さんの隣に立つ。
「そうですね。やはり場所がいいですからね、ここは」
周りの桜並木を見上げ、堤防へと続く緩やかな坂道へと眩しそうに目を細めた島田さんが満足そうににっこりと笑って言ったけれど…。
徐に鳴り響く二時間目終了のチャイム。
ハッと二人肩が跳ね上がって、見開いた目を見合わせる。
ま、まさかとは思うけど…。
ゆっくり振り向いた私たちの目に写ったのは、またもや校舎から駆けつけてくる生徒たちの黒だかり…。
「う…、うそ、でしょ…?」
「…嘘ではないよう…、ですね…」
たらりと引きつる顔を見合わせて私たちも持ち場に走り出した。