僕のおねえさん
□23.
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☆★学校にカフェがやってきた★☆
島田さんがカフェのテーブルセットを設置している間に、私は車内の準備を始める。
午前中はとにかく先生方のお弁当を中心に動かないと、
今日は初日だし、カフェのお客様が溢れかえるなんて事はないだろうけど、それでもやっぱり受注分のお弁当をまとめて定時までに仕上げて配達しなきゃならないとなると、本当に他ごとなんてしていられないかも。
カフェだって、島田さんのスイーツだけじゃない。
数種類とはいえ定番メニューのランチの用意もしなくちゃいけないし、注文が入ればドリンクの用意だってしなければならない。
コーヒーメインの内容だけど、イートインのお客様にはラテアートのサービスなんかもあるから、それはそれで、私の腕の見せ所なわけで楽しみでもあるんだけれど…、
もしもお客さんが殺到して手に追えない程の忙しさだったらどーしよー!?
なんて、
まだ初日準備中でそんな心配、はっきり言って夢のまた夢、
なんだろうけど!
給食のおばさんになった気分で大きなお鍋でスープを煮込む。
本日のランチメニューはお豆腐のハンバーグがメインのロコモコ。
テイクアウトのランチボックスは紙製の物で適度な深さがあるキューブ型。
これに炊きたてのライスを敷いてちぎったレタスを適当に乗せる。
それから仕込み終わったハンバーグを和風ソースで煮込んでしっかり味付けして、最後に半熟の目玉焼きを載せたら出来上がり!
お店をオープンする前に仕込みが終わってれば本当に詰め込むだけの簡単なもの。
でも…、
ランチボックスの大きさがこれしかないから、たくさん食べる人はきっとこれだけじゃ足りないよね…。
ちなみにスープはたくさんの野菜をさいの目切りにしたコンソメスープ。
大豆も入れてヘルシーなうえに、食べ応えも充分!
…だと思うけど………、
私と総ちゃんの感覚で言えば満腹になると思うんだけどな…
と、
そこまで考えてハッと気付く。
ここ……。
総ちゃんが通ってる学校!?
え!?だってほら!
昨日総ちゃん言ってたもん!
近藤さんが理事長で、近藤先生が校長先生。
でもって、永倉さんや原田先生もいて、
…担任の先生は………、
!!?
お弁当の発注者リスト!
あぁあっ!数しか見てなかった!
リストの控えも近藤さんが持ってっちゃった!
な、ど、えっ!?どうしよう!!
なんかものすごく緊張してきた!
えっ、なんで緊張!?
わかんないっ!
なんだかわからないけど、急激に心臓の脈打つ速さが増して行く。
なんでだろう。
知ってる人がもしかしたら私の作ったお弁当を食べるのかと思ったら急激に緊張してきた!
どうしよう…。
そういえば、永倉さんや原田先生が言ってたような…。
『やっぱ限られた人生の中で飯食う回数も決まってんだから、うまいもんを心ゆくまで食わなきゃ損だろっ!』
『でもよ、この理屈で言うと俺たち何回貴重な昼飯回数損したことか…』
も…、もし私のお弁当がお口に合わなくて永倉さんのお食事回数を無駄に消費してしまったとしたら……!
わ…、私はどうやってその償いをしたらいいのっ!?
作業の手を口元に当てて、顔面蒼白で立ち尽くす私は、表のセッティングを終えて車内に乗り込んできた島田さんに肩を揺さぶられ大きな声で名前を呼んでもらうまで、完全に宇宙の世界をぐるぐると彷徨っていた。