僕のおねえさん

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☆★ゴールデンウィーク最終日★☆QLOOKアクセス解析






名前ちゃんと二人で出掛けたあの日から、僕たちはお互いのことをよく話したりして、一緒に過ごす時間が増えた。

と言っても、四月の月末から五月の連休でお互い仕事も学校もないから家で顔を合わせることが多かったっていうだけのことなんだけどね。


だけど、この連休の間だけで、離れていた7年間のお互いを随分と知る事ができた。

名前ちゃんは僕のことをすっかりサディスト呼ばわりするようになって、正直特定の人にはそうだと自覚はしていたんだけど、まさか名前ちゃんにまでそんなこと言われるとは思いもしなかった。
こんなに優しく接しているのに…。


名前ちゃんは僕が思っていたよりも、ずっと表情豊かでずっと子供ぽいような幼なさを感じる。
幼い頃の僕が思い描いていたのは、本当に聖母マリア様のような女性をイメージしていたから余計かも知れない。
いつもにこにこしてて可愛いんだけど、これであの土方さんや原田先生たちと二、三歳位しか違わないとかって…、正直いいかな〜って思う。
家から出て自活してたなら、もう少しこう、なんていうか、

しっかりしててもいいと思うんだけどねー。






「あ!そうそう!総ちゃん、明日からまた学校始まるけど、お弁当は?いる?」


ゴールデンウイーク、特別どこかに出かけたりもしないで近場をブラブラ二人で過ごした時間ももう終わり。
明日からまた学校生活が始まる。

るんるん気分で洗濯物を膝の上で畳みながら名前ちゃんが言った。



「お弁当は…、うん、これから暑くなってくると傷んじゃうだろうし、いいよ。その方が名前ちゃんも朝ゆっくりできるでしょ?」



本当はただ、朝は重いし帰ってきたら必ずカバンから出しとかなきゃならないのが煩わしいだけなんだけどね。
それにカラのお弁当箱持って寄り道って、そんなのおかしいし。

そんなことを思ってるだなんて、目の前の名前ちゃんは1ミリも気がつかないんだろうな。



「名前ちゃんも明日からは自分のお弁当作らなくていいんでしょ?」



この連休の間に知ったこと。

名前ちゃんのお仕事は移動カフェ。
大きなワゴン車で連休前までは街のあちこちを走行しながら宣伝活動してたらしい。

でも、こないだはじめ君に南雲君がやるべき雑用を押し付けられてた時、嬉しそうに掛けてきた電話、
あの日、移動販売の設置場所を提供してくれる契約者が見つかったってことで、連休明けの明日からは早速そこで本格的に営業を開始するらしい。

だから宣伝活動の時はお弁当持参してたみたいだけど、お店がオープンすれば、そこの賄いで済ませるらしい。


ちなみに、契約のお祝いで行ったビアガーデンで数人のナンパ男に囲まれて怖い思いをして、自分は男性恐怖症なんじゃないかって真顔で言い出した名前ちゃん。

それから、ナンパ男から2人組の男の人に助けてもらったり、帰りの途中でひと息ついていたら猫に囲まれていて、突然猫たちが走り出したと思ったら傷つけられていて、そんな名前ちゃんを見かけた通りがかりの男の人にキズの手当をされて、近くまで送ってもらったりして、男の人全てが怖い訳じゃないってわかってるらしいけど、それでもやっぱり初対面の人には構えてしまうという。

その日助けてくれた人達も最初はあまりの至近距離にパニックになったって言ってたけど…。

パニックになってしまう程の至近距離ってどんなだろう…。

やっぱりイマイチな名前ちゃんの説明に「ふぅ〜ん」と返事をしていた僕だったんだけど…。



名前ちゃんが男性恐怖症かぁ…。



ナンパから声をかけられないように街を歩くだけでもいろいろ気を使ったり工夫したり、
それでも声をかけられて、
名前ちゃんにしてみたらものすごいストレスを抱えての生活なんだと思う。
僕だって、そこまで意識はしてないけれど、声をかけられた事で一体何度電車に乗り遅れた事か…。
だから毎日遅刻しちゃうんだよね。

どうしたら声をかけられずにまっすぐ歩くことができるんだろう?

それってもう、自分じゃどうしようもないことだよね。

歩いている時なら、それっぽい奴らには近付かないとか、声かけられても絶対立ち止まらないとか、何とか自分で回避することはできるかもしれない。

中には道案内して欲しいとか言ってこっちの親切心を逆手にとって近づいてくる奴もいるけれど…。

一番タチが悪いのがこないだみたいな奴らだね。
あんな風に一人で座ってるところを見計らって来るなんて…。
ああいう場合、僕ならどうするかな…?
相手がこないだみたいな奴らだったら容赦なく返り討ちにしてやるけど、女の子だったらなぁ〜。
まぁ女の子でも結局他人にいきなり声かけるような子だし同じ事か…。



返り討ち…。




名前ちゃんには無理だよねぇ〜。
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