平助の母親

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☆★バスケ部の危機に救世主降臨★☆QLOOKアクセス解析






一二年が帰宅し、三年だけが残ったバスケ部の部室にオレと近藤さん、バスケ部顧問の武田先生と、……それから三年の学年主任の伊東先生が詰めかける。



「……まったく!未成年が…、それもまだ中学生なのに飲酒に喫煙!一体どういう事なのか…、あなたたち、事の重大さを分かってるの!?」



ヒステリックに吠えたてる伊東に近藤さんが眉と腰を下げてまぁまぁと声をかける。



「伊東先生、落ち着いて…。喫煙は一応未遂ということがわかっただけでも…」

「それでも落ち着いてなんかいられるわけありませんでしょう!」



キーーーと蛇が威嚇するかのような表情で叫ぶ伊東にオレ以外のそこにいる全員が背筋を伸ばし、青い顔で心なしか仰け反る。

ったく…、うるさいのが来ちまったぜ…。
はぁっとため息をつくとギロリと向けられる鋭い視線。



「何か?」

「いや?ただ、そんなに喚き立てると声が外に丸聞こえだ。そうなるとどこから校外に情報が漏れてもおかしくねぇ事態に陥っちまう…」



閉ざした部室の扉へと視線を向け言うと、俺の言った意味を理解したのかコホンと咳払いをして再度生徒たちに向き直る。



「とにかく、こんな事態になった以上バスケ部はもう廃部ですわね。」



ツンといい放つと今回の事件を起こした生徒たちは俯き、部長と副部長、それからスタメンに選出されている生徒は顔をあげ伊東を目を見開いてみつめる。



「当たり前でしょ?廃部よ、廃部。」

「そんな!?待ってください!」



尚もツンと言い続ける伊東に部長が声をかける。



「お願いです!俺たち三年は退部になっても構いません!だけど、……、一二年は無関係です!一生懸命練習してるやつもいるんです!お願いですから廃部だけは………、お願いですからバスケ部をなくさないでください!」



部長が頭を下げると副部長に続き他の生徒も頭を下げる。
しばらくその様子を見ているだけの伊東に近藤さんがそっと声をかける。



「伊東先生…、とにかく事を荒立てずに穏便に対処させませんか。今回の発端になった生徒たちも充分に反省しているし、連帯責任まで取ると自ら申し立てているんだ。すばらしいじゃないですか。こんなすばらしい仲間意識を持てる部活動をなくしてしまうなんて、わたしにはできない…。彼らの意思を汲んであげてもいいんじゃないかね」



肩越しに静かに落ち着いた声で言う近藤さんの意見に横目で視線を向け、ふぅとため息をはくと、



「そうですわね…、大事になっては学校全体の問題になりかねませんものね」

と言い、扉へと近付き手をかける。

「ここで話していても仕方ありませんものね。生徒たちの意見も聞き入れつつ、穏便に最終結論を出しに行きましょう」

扉を開けて出ていく伊東の背中に

「よろしくお願いします!」
頭を下げ声を合わせる生徒たちに近藤さんと俺と視線を合わせて頷く。



「後は俺たち教師で話し合う。お前たちも今日はこれで解散だ。今後の事は追って話す。気を付けて帰れよ」



下げたままの部長たちの頭を順にポンと一つずつ叩き部室を出る。



「さ、武田先生も行きましょう」



これまで一言も声を発しなかった武田に声をかけ肩を押す近藤さんを振り返りつつ見えたバスケ部の部室の中には、部長の廻りに集まり頭を下げて謝る生徒たちの姿があった…。
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