平助の母親

□69.
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「まだぐっすりだろ?」



突然後ろから平助くんに声をかけられて思わず声をあげてしまいそうになったけど、肩を強張らせて口元を両手で押さえてなんとか声を上げずに済んだ。


「も…、もぅ!ビックリしたよ…」



小声で平助くんを見上げて言えば、平助くんも「わ、わりぃ…」と小声で謝る。



「水分も全然飲んでないみたいだし、大丈夫かなぁ…」


名前さんの枕の向こうに置いてあるペットボトルも余り飲んだ形跡もない。



「まぁ…、寝るのが一番のクスリだし?」



そう言って少しだけ開けた襖をすっと更に広く開けて中に入って名前さんのおでこに手をあてる。


「おぉ!意外と熱下がってるっぽい!」



そう言って立ち上がってわたしに振り向く。



「けどさぁ……、なんでかぁちゃん、こんな隅で向こう向いて寝てんだ?」

「?」



首をかしげて足元で眠る名前さんを見下ろす平助くんの少しうしろに私も立ってみると、ほんとに不思議な感じ…。



「……、昨日って…、土方先生…、」



そこまで呟いて言うと、ハッとして驚愕の表情を上げる平助くん…。



「ま…、まさか………」



そう言って振り向く平助くんと目を見合わせて名前さんの横の空いたスペースを見る…。


………。



「平助くん!今はそんなことより学校!」

「お!?あぁ!」



寝ている名前さんをそのままに私たちは慌てて玄関に向かい急いで学校へ向かった。


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