平助の母親

□57.
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先生方は帰り、千鶴ちゃんも平助に送ってもらって残されたわたしは一人でお片付け。


はぁ、とうとう平助に話しちゃったなぁ…。
私の口からちゃんと話した訳じゃないけれど…。


平助が帰ってきたら二人っきりだし…、



なんて声をかけよう………。


そんな事を思いながらすべて片付けたダイニングテーブルを拭きあげている頃………。










「………、土方先生、ホントに名前さんのことわかってくれてるみたいだったね…」


オレの持つ傘に並んで入って、千鶴がぽつりと呟く。

千鶴を見れば、隣にいる距離が近すぎて、
揺れる前髪で目元は見えないけれど、その口元は笑っていた。


さっき…、つい土方先生のニヤっとしたからかうような眼差しにカッとなって言っちゃったけど……。




こんなに意識してんの、オレだけなのか?




すぐとなりにいる千鶴をもう一度チラッと視線を下ろしてみれば、さっきの呟きに対して何の反応もしなかったオレに「平助くん…?」と、大きな瞳で見上げて来た。

その瞳と至近距離でバッチリ目があってしまって、お約束のように慌てるオレ…。



「っ!どぅわぁっ!!」
「えっ!?えぇっ!?」


オレの驚いた声に千鶴も驚いて二人で傘から飛び退いてしまう。



「わ、わりぃ…」


慌てて腕を伸ばして千鶴に傘を差し出して謝ると、そっとオレの手を千鶴の柔らかい手の感触が覆う。
ハッとして見ると、伸ばしたオレの手と傘の柄を一緒に掌で包み込んで、オレの腕を曲げてまた距離を縮めて同じ傘の下に寄り添う。


「ちっ!千鶴!?」

近っ!


「平助くん…。」

「な……、んだょ……」

「ふふ…、名前さん、取られちゃったね!」

「は……、はぁっ!?」



いきなりそんな事を言われてまた体を仰け反ると、今度は腕にしがみつかれて引き寄せられて…、




「でもわたしが名前さんの代わりに面倒見てあげるから安心してね!」


しがみついた腕から上目使いでそんなこと言われたら……。







@「はぁっ!?なに言ってんだよ!」と慌てる。
A「そうだな、お前がいれば他には何もいらねぇよ…」と優しく千鶴の肩を抱き寄せる。
B何も言わずに抱き締める!




のぉ゛わぁぁあーーー!!!
どぉ〜する!オレっ!!!



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