平助の母親
□52.
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☆★千鶴ちゃんと平助くん★☆
今日もいつも通り平助くんのおうちで晩御飯の準備中。
でも今日は平助くんが大活躍で、とっても嬉しいからメニューもわたしの気持ちに比例して色とりどりのオードブル風。
平助くんに喜んでもらいたくて、いつもより早めに作業に取りかかったら、品数も量も気がつけばとてもじゃないけど三人で食べられないくらいの量になってしまった…。
「うわ…。千鶴…、はりきったなぁ〜。」
ダイニングテーブル側からキッチンを覗きこんで、さすがの平助くんもちょっとひきぎみ…。
「う……。やっぱり作りすぎだよね…」
あれもこれも、平助くんの大好物いっぱい食べてほしくて作っちゃったけど…
しょぼんと反省していると、伏せた視界にニュッと手が伸びてきてあっという間にエビフライが一匹とんでいく…。
顔をあげて平助くんを見れば、ほっぺをぷくっと膨らませて口をもぐもぐ、親指と人差し指をなめて、
「うめぇーじゃん!さっすが千鶴!」
にかっと太陽みたいな笑顔を見せてくれた。
その笑顔を見て平助くんの優しさがわたしの心を弾ませる。
「ホント!?よかった!……、でも余っちゃうよね…、やっぱり…」
盛りつけきらない未だにキッチンペーパーの上にあるおかずにチラッと視線を向けて呟くと、
「残ったらそれもって明日出掛けようぜ?動物園とかさ!それでも余るんだったら月曜の弁当に入れてもらえばいーし!」
千鶴の飯なら何日同じもんでも全然OKだし!
なんて言ってくれる。
大好きな平助くんにこんな嬉しいことをいってもらえて…、
わたし…、こんなにシアワセでいいのかな…?
小さな頃からずっと一緒にいた平助くん。
小学校に上がる頃にママが私とパパを残して家を出ていってしまってからというもの、私はずっと平助くんの明るさに救われてきた。
平助くんだけじゃない…。名前さんや平助くんのおじいちゃんおばあちゃんの優しさにも…。
どれだけ感謝しても全然足りないくらい平助くんたちに大切にしてもらってきた。
平助くんとは本当の兄妹のように育ててもらって、平助くんともそういう間柄として過ごしてきたけど、やっぱり一緒に過ごす時間のなかでさっきみたいな私の失敗を笑顔でフォローしてくれたり、励ましてもらってたら…。
平助くんとは変に意識しあう関係にはなりたくなくて…、
今のシアワセな時間がなくなっちゃうのかと思うと、私のこの感情は表には出さないようにしてるけど、
だんだんカッコ良くなっていく平助くんを見ていると、無意識に私の想いが顔に出ちゃったりしているのかもしれない…。
きっと、平助くんにはわからないかもしれないけど。
いつか…、
この想いが平助くんに伝えられたらいいな…。