平助の母親

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いつも通り仕事を終えて、バスに揺られて家の最寄りのバス停に到着。
降りていく人に続いてバスから降りて歩き出すと、目の前に土方先生(としくん)の車を発見!


うそっ!?こんな偶然!どーしよー!!


キャンプ以来、一度も会っていなかったから、一気に気持ちが跳ね上がる!



一気に疲れが吹っ飛んだかと思ったら歩道側のドアが勢いよく開いて千鶴ちゃんと平助が飛び出してきた。


「平助!千鶴ちゃん!」


ビックリして駆け寄ると、平助の後ろからバーンともう一人、わたしの名前を叫びながら飛び出してきた。


「名前ちゃん!!」
「えっ!?ウソなんで沖田くん!?」


平助と千鶴ちゃん、それに沖田くんの組み合わせが理解できなくてきっと今のわたしは目も口もあんぐりしているはず…。



すると、大きなクラクションが鳴って更にビックリ。
あっと思う間もなく土方先生(としくん)の車は走り去ってしまった。



うそ…。行っちゃった…?
わたし、先生の顔も見てないどころか、声すら聞けなかった…


呆然とするわたしの手を、沖田くんがぎゅっと両手で掴む。


「名前ちゃん!すごいね!こんなところで会うなんて!運命の出逢いってやつ?」


沖田くんはわたしの手をブンブン上下に振ってとてもいい笑顔。

それを若干引いて見ている平助と、怯えてひきつって呼吸を止めているような千鶴ちゃん。


「お、沖田くん、どうしてここに…?それに、平助と…お知り合い?」


ブンブン手を振られながら訊ねると

「そうなんだよ!お知り合い!」

沖田くんも手をブンブンしながら嬉しそうに答える。

「知り合いって誰がだよっ!」

平助が横から突っ込むとずっと七福神の恵比寿顔だった沖田くんの目がギラッと鋭いナイフのように光り平助に向けられる。

投げられたナイフで壁に縫い付けられたみたいに瞬時に動けなくなる平助。


うそ…、
視線で人を殺せる、なんてよく冗談で言ってるの聞いたりするけど、
本当にあるんだ…。
間違いなく殺せるよ、本物だよ…。


平助と同様にわたしも固まっていると、沖田くんの視線がわたしに向けられにっこり微笑む。


「いつまでもこんなところにいるのもなんだし、歩きながら話そうよ。さ、行くよ?」


そう言ってわたしの手を握ったまま歩き始め、怯えて固まっている千鶴ちゃんに先を歩くように視線で促す。


「っ!?」


完全にひきつった息を飲む千鶴ちゃん。
だけど慌てて平助の手を取って歩き始める。


「くすっ、いい子だね」


そう呟いて二人の背中を見ながら、わたしの手を引いて、何故か沖田くんまでわたしの家へと向かうことになっていた。
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