平助の母親
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「平助っ!?おまえ、…どーしちまったんだよ……」
龍之介の驚く声に、クラス中のみんなが俺たちのいる方を振り向く。
「へっへっへ!別に?どぉってことネェし。オレだってちゃんとやりゃあできるって事なんだって!」
中間テストも無事終わり、一気に返される答案用紙。
その結果は見事全教科平均点以上!
俺だってやりゃあできるんだ!
まぁ、今まで机に向かうことすらしなかったオレが、こうやってテスト勉強して結果出せたのは、全部千鶴おかげなんだけどな。
クラス中の視線の中に千鶴の笑ってる顔を見つけたからにかっと笑ってピースを向けると、千鶴もはにかんで小さくピースサインを返してくれる。
へへっ!やったぜ!
これで土方先生ももう文句言わねーだろ!
誰にも文句言われずにバスケができる!
夏のインハイ予選に向けてマジ楽しくなってきたぜ!!
放課後、浮かれた気持ちで部室に向かう。
テスト期間とその前の一週間は部活も休みで、ひたすら千鶴と勉強だったから、久しぶりの部活とあってオレのテンションも上がりっぱなし!
テストの結果で土方先生に文句言われなかったってのもかなりでかいなコレ!
そんなテンションで勢いよく部室のドアを開けると、オレの登場にあわせて一斉にこちらを向く先輩たちの顔。
その顔はどれも何かにビビってるようなハッとした顔だったけど、それも一瞬のことで、すぐに「おー、ヘースケ、おつかれ〜、早いなー」といつもの挨拶をして迎えてくれる。
「おつかれっす!先輩たちも早いっすね!やっぱ久しぶりの部活だし?オレ体が鈍っちゃってウズウズしちゃってサー!」
言いながら自分のロッカーに荷物を詰めて早々と着替え始める。
そんなオレに対して、ちっとも動き出す気配のない先輩たち。
「着替えないんすか?」
疑問に思って口を開くと部室のドアが開いて続々と部員が入ってくる。
「おつかれっすー」
「おつかれ〜」
「ヘースケぇ、先に行くとかマジ俺さみしーじゃん!」
急に賑やかになった部室に笑顔が溢れる。
やっぱりみんな久々の部活が嬉くってたまんねーんだよな!
誰よりも先に着替え終わったオレが部室から出ていこうとすると、まだ座ったままの先輩たちが「俺たちは話があるから、今日はお前たちでまわしといてくれ」と部員全員に声をかけた。
「うぃーっす!」
全員返事をして着替え終わったやつらと体育館へ向かう。
先輩たちの話って………。
やっぱインハイスタメンの選出か!?
張り切るっきゃねぇなー!!