始まりは視聴覚室

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☆★確認テスト★☆QLOOKアクセス解析





前回の授業で「復習しとけよ」と言った土方先生は、出席確認を終えると早々にプリントを配り始める。



「よぉし、後ろまで行き届いたな。じゃ、今から前回の授業の確認テストを行う。いいな、…始め」



なんの前触れもなく突然始められた小テストに生徒全員がざわめき始めるけれど、そんな生徒の様子に土方先生は注意するでも説明するでもなく椅子に深々と腰掛け腕を組んで目を伏せる。

そんな取りつく島も与えない土方先生の様子に、ざわめいていた室内も諦めの空気に包まれ、みんな渋々小テストに取り掛かる。


前回の授業の確認テストって…
ただ教科書朗読した後DVD見ただけなのに…。

普通の授業のように黒板書き写したり、先生が重要だからと教科書にマーカー引いたりとか、
そういう授業を受けていたのなら復習テストだろうがなんだろうが突然抜き打ちで始められてもいいだろうけど…。

ノートを取るどころか筆記用具すら使ってない前回の授業(?)でテスト問題作ってくるってどーゆーこと?
しかも、何度もくどく言いますけど、
土方先生朗読しかしてないし!
ここ重要☆とかそーいう発言一切なかったし!

問題を解き進めつつ心の中で悪態をつきまくり、全ての空欄を埋めて大きくため息をつく。


プリントから顔を上げて教室を見渡すとまだまだみんな必死に頭を抱え問題に取り組んでいた。

一人顔を上げた私に目敏く気付いたのか土方先生の視線がチラッと向けられる。





こんなに離れた席なのにバッチリ目が合ってしまい大きく心臓が音を立てて飛び跳ねる。

思わず勢いよく顔を伏せちゃったけど…。
べ、別に私悪いことしてないのにどうしてこんなにドキドキしてるの!?

ドキドキうるさい鼓動を抑えるようにギュッと体に力が入って両目を瞑っていると微かな靴音と共に近くに感じる気配。

サッと紙の擦るような音が聞こえ目を開けると私のすぐ横にプリントを手にそれに目を通す土方先生が立っていた。



「!!」



驚いてその様子を見上げたまま固まる私にやがてプリントから向けられる土方先生の視線。

チラリと向けられた眼差しに声も出せずにいるとフッとその目元が細められプリントが机の上に戻される。



「あと5分だ。ペース配分考えて取り組め」



生徒たちを急かすように声をかけながら教卓に戻っていく。
その様子を呆然と見つめていると、名簿を手に取りサッと目を通し、そしてまたこちらに向けられる土方先生の瞳。


その瞳にまたもやドキっとして肩をすくめて顔を隠してしまった。なんなの、この緊張感は!

伏せた顔の状態から視線だけをチラッと上げてみると、そこにはもう誰もいなくて無人の教卓に黒板の背景。
すでに土方先生は窓際にある操作盤の机の向こうに腕を組んで腰掛けていた。


しゅ…、瞬間移動か!


呆気にとられながらも徐々に落ち着きを取り戻していく鼓動の大きさに戸惑ってしまう。
こんなにドキドキするなんて…。



幻の美形教師…




恐るべしっ!!!
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