始まりは視聴覚室

□4.
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☆★私の放課後は…★☆QLOOKアクセス解析




「んぉ?どーしたぁ?」



下唇を噛み締め握りこぶしを小刻みに震わせて立つ私の背後から間抜けた声が聞こえたかと思うと、それまで私の正面でオロオロとしていた千鶴ちゃんがパァっと笑顔を輝かせて大きく手を振りかざした。



「平助くんっ!」

「おー、なになに、今日は一人じゃねーじゃん。友達?」



暢気にてくてく歩いてきて中身が沢山入った購買のビニール袋を音を立ててテーブルに置くと、俯いた私の顔を覗き込んだその人は一瞬で息を引き攣り一歩後ずさる。



「ち、千鶴の友達…?」

「う、うん…。苗字なまえちゃん。」

「ってか…、なんか、…オーラすげー…。」






その後千鶴ちゃんに優しく腕を撫でさすられ漸く気を落ち着けた私は、後から合流した先輩を簡単に紹介され三人でランチタイムを再開する。

平助君と紹介された先輩は千鶴ちゃんの家のお隣に住む幼馴染で一つ年上の先輩だとか。
二人が話す様子を見てるととても仲睦まじく、
特に平助先輩なんか、千鶴ちゃんに話を振られるとすっごく嬉しそうに目を輝かせ尻尾ブンブン振りちぎれんばかりに興奮した子犬みたい。

そんな二人を正面から見てると思わず口をついてしまう。



「二人って付き合ってるの?」



ご飯を運んだお箸を口元で止めてもぐもぐしながら訊ねると、それまでに楽しそうに喋ってた二人は同時に目を丸くして私を凝視し、同じタイミングで顔を真っ赤にしてブンブン首を振る。



「な!何言ってるのなまえちゃん!」
「な!何言い出すんだよやぶからぼーに!」



そんなセリフも同じタイミング。



「だって…、どう見ても二人そんな感じかな〜って…」

「へ、平助君はただの幼馴染で小さい頃からいつも一緒にいるってだけで別に…!」

「そっ!そうそう!オレたち別にそんな…!ただの幼馴染で!」

「………、あ…、そ、そうなんだ…」



揃って真っ赤な顔でモジモジしだした二人を前に、そんなに必死に否定しなくてもいいのに…って思いながら、きっと二人とも同じ気持ちってわかっていながら付き合う前のドキドキが一番楽しいお年頃なんだな…って勝手に納得してそれ以上突っ込まないことにした。






「にしても、総司に目ぇつけられるなんてお前もついてねぇよな!」



全然同情なんてしてないくせにニシシと楽しそうに笑いながら言う平助先輩に「なまえちゃん」と名前で呼ぶように釘をさす千鶴ちゃん。



「目ぇつけられたって…、私何もしてないのに!意味わかんない!」



思い返しただけでも腹がたつ!
あの、人を人だとも思っていないような上から目線の冷めた眼差し!
私の事も「ふぅん、別にどーでもいいけど」みたいな感じで完全にバカにしてるし!
てか、
どーでもいいんだったら絡んでくるなっつーの!腹たつー!




「…千鶴の友達、っつーか薫の方が合うんじゃね?」

「平助くん、それって二人に対して失礼だよ…」
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