始まりは視聴覚室

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私が現在通っている薄桜学園という学校には、それはそれはとてつもないほど美形な教師がいるという。

いるという、
と言うか実際私も遠目からだけど何度か見たことがあるので『いるという』と言う言い方は若干おかしな言い方かもしれないけれど、私からしたら滅多にお目にかかれない存在なので、まさに幻の美形教師。
ちょっとでもお目にかかれたらその日はラッキー?
…目の保養?的な感じ。

クラスの子達も美形な先生を見れた時には大はしゃぎで、何度そのフィーバーに巻き込まれたことか…。

そんな、年に数える程しかお目にかかれない美形教師。

土方歳三先生。

私が入学した年は教頭先生として、滅多に生徒の前に出ることはなかったらしいけど、今年はどうやら三年生のクラス担任を受け持ったようでその姿は以前より確実に多くの生徒に目撃されるようになった。

そして、2年に進級した私も…。

進学校である薄桜学園では2年に上がると週2時間だけの選択科目の授業が増える。
文系志望の私が選んだ古文の授業。

その教科担任がなんとなんとの土方先生だったのだ。

今まで教頭先生と言う立場で教壇に上がることのなかった幻の美形教師が、クラスを受け持ち、さらには受け持ち学年以外の授業にまで参入してくる…。

これには周りの女子が大盛り上がりと大ブーイングで一時クラスは騒然となった。

そりゃ、はじめから土方先生が教科担任だってわかってたらみんな古文選ぶに決まってる。
だって幻の美形教師なんだもん。
そんな見目麗しいお姿を心ゆくまで拝見させていただけると言うなら、誰が古文以外の授業を選択するっての。

まぁ、真剣に理数系とか別の方向で進学を考えている人は別として。


そんなこんなで、新学期。
新しい教科書を片手に二年生の各クラスから古文の授業を選択した生徒達が集まる視聴覚室。

今日から週に2度、ここで幻の美形教師、土方歳三先生に授業を教わる。
別に特別たいしたことでもないんだけれど。
周りが浮き足立ってるから、それが伝染してるだけ。


見れたらラッキーな日が週に二日。

毎週決まってやってくる。


ってだけの話。







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