僕のおねえさん

□66.
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☆★葛藤★☆QLOOKアクセス解析







日曜日の夕方過ぎにはすっかり体調を取り戻した総ちゃんは、翌朝元気に起きて来ていつもどおり軽く朝ごはんを食べて学校へ行く準備をしていた。

そんな総ちゃんを残して私もいつも通り先に家を出て出勤した。



いつもどおり変わらない。変わることなんてない。

って思ってはいても、やっぱり学校が近付くにつれ週末突然起きたあの出来事が脳裏を過ぎり、私の頭の中は今日の業務に備えての段取りだとか心構えだとかよりも、土方さんと原田先生の事でいっぱいになっていつも以上に緊張した面持ちで戦地に赴くが如く身を強張らせていたみたい。




「名前さん、どうかなさいましたか?」

「え…?」



悶々と脳内で葛藤を繰り広げていると、それまで黙って前を向いて運転していた島田さんに突然声をかけられてびっくりする。


「あ、いえ…、なんだか思い詰めていらっしゃるようでしたから…、何かありましたか?」

「………、」


島田さんは本当に、少しの変化でも私の事を見ていてくれている。
いつもいつも小さな事で心配かけてしまって申し訳なくて、…それにこんな事、相談なんてできるはずない。
原田先生に突然抱き寄せられたとか、それを土方さんに見られたとか……。

口が裂けても言えない……!



「な、なんでもないです〜」



取り繕ったように苦笑いを浮かべる私に「そうですか…?」と心配顔のまま呟いて、まだ何かを聞きたそうな感じだったけど、それ以上何も言わずに島田さんは車を走らせた。




今日の予約販売分の売上金もいつも通り島田さんの元気な挨拶が聞こえた後、土方さんが手渡していたけれど今朝はとてもじゃないけど車から顔を出すことすらできなかった。

先週の金曜日、わざわざ引き止めてまでした挨拶は何故かめちゃめちゃ緊張して、
お昼にまた来るって言った土方さんの事を、ずっと考えて過ごしてた。

お昼過ぎにやっと来てくれた土方さんと過ごしたあの時間……。

すごくあったかくて、楽しかったのに……。



あの一瞬で、変わってしまった。


土方さんがどう思ってるか、わからないから余計に怖い。
どう思っているか知るのも怖いけど…。

私の名前を呼んだ時の土方さんの目が忘れられない。


何もなかったように振る舞えばいいの?



分からないよ……。
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