平助の母親

□39.
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☆★近藤勇、人生の教訓!?★☆QLOOKアクセス解析





うつむいた顔をあげることなく駆け去って行った名前。
近藤さんが呼び止める声にも振り向くことなく行ってしまった。

その様子がいつもの名前の様子と違い、戸惑いを隠せない様子の近藤さんだったが名前の姿が完全に階段の上へと消えると振り向いた顔は俺の想像したものとは違い、意外にも穏やかな笑みを浮かべていた。

ソファーの横から回り込んでさっきまで名前が座っていた場所に腰かけると俺を見上げてポンポンとソファーを叩き座るように促す。



「トシと苗字さんはいつから良い仲になっていたんだ?」


「!?」


促されるまま腰掛けたと同時に近藤さんからの思いもよらない鋭い問いかけに言葉が詰まる。


「な…、何言ってんだ…」


柄にもなく近藤さんに向けた視線はきっと恐る恐るといった感じで揺れていただろう。

だが、近藤さんが俺に向ける視線は相変わらず穏やかな笑みを浮かべたままで。


「はは、俺に隠し事なんて水臭いぞ?お前の事だ。見てればわかるさ」


そう言って目尻を下げて嬉しそうに窓の外へと視線を向ける。


「今日一日のお前を見ていれば、これまでのお前と何かが違うのは一目瞭然。それに苗字さんに向けるお前の顔は、見たこともないほど優しさに満ち溢れていた。見ている俺まで幸せな気分になれたよ」


星が瞬く夜空を見上げながら話す近藤さんの横顔は朗らかで、そんな横顔を見ながら近藤さんの次の言葉を待つ。


「今までのお前を見てきた俺が言うんだから間違いないさ。苗字さんは本当のお前を引き出してくれる最高の女性だ。お前には彼女しかいないだろうし、きっと彼女もそう思ってくれているだろう。…お前だって、そう思っているんだろ?」


そう言って俺の右肩に手を置いてにっこりと微笑みを向ける。



「……、やっぱ近藤さんには言わなきゃなんねぇよな…。」


一つため息をつき、しょうがねぇかと腹をくくり名前との事を白状しようと心に決める。


近藤さんとは長い付き合いだ。
隠し事がある方が不自然なくらいの間柄だ。
名前との事も近藤さんとの事も、これからの俺の人生にとって必要不可欠な事だ。


近藤さんには知っててもらいたいと思い、俺は嘘偽りなく名前との事を話し始めた。
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