平助の母親

□34.
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☆★二人の空気★☆QLOOKアクセス解析





キラキラ輝く水面をバックに顔を見合わせ微笑む二人。

「なぁなぁ左之ぉ!あの二人、やけに親密じゃねぇか!?」
「…んだよ。耳元ででかい声出さなくても聞こえるっつーの」
「左之ぉ!いいのかよ、このまま近藤さんの連れに名前ちゃん持ってかれちまってもよぉ!?」

新八と二人でふらっと便所に来たところで偶然苗字と土方さんが二人で河辺にいるのを見かけて、新八が騒ぎ出す。

「いいのかよっつったってなぁ…。ま、ちょっと行ってみようぜ!」
「あっ!おいマジかよ!?」

河辺に向かって走り出す俺の後から新八も慌てて着いてくる。


「いよっ!おふたりさん、…つうか苗字…、お前なんて格好してんだよ…」
岩に寝そべってご丁寧にタオルで枕まで用意している。

「あ、原田さん。なんて格好って…、何かおかしいですか?」
「おかしいですかって…。家じゃねぇんだから…。しかもお前女なんだからごろ寝はねえだろ。」
軽く笑って言うと苗字の横に座る土方さんもふっと笑って「ほらな」と呟く。

「むぅ。わかりました。起きます。」
なにやらぶつぶつ言いながら濡れた手を拭き起き上がると、腰に掛けていたパーカーを土方さんの肩にかけ、「ありがとうございました」と肩をポンと叩く。

「二人とも、なんだかやけに仲良さそうだよな。土方さんとはこないだショールームで会ったのが初めてじゃないのか?」

思ったことをそのまま言うと二人は顔を見合わせて一瞬押し黙るが、苗字がどこかぎこちない様子で返事をする。

「あ、はい。あの時が初めてです。」
「でもあの日はそんなに会話してなかったよな?」
「え、…あ、そうでしたね」

ぎこちない苗字に不自然さを感じながらも二人の座る岩に座ると俺の横に新八も「どうもどうも」と腰掛ける。

「あの時が初対面で、今日だろ?近藤さんより仲良く見え…」
「こいつとはあれから数回会ってるから」

俺の言葉尻に被せるように土方さんが低い声で呟く。
「えっ!?会ってるって…、えっ!?えっ!?」
新八が土方さんと名前を交互に指差しながら狼狽える。
「えっ…と、ちょっと待て?会ってるって…、どういうご関係?」

聞いたところで答えを聞くのが怖いような、でも聞かずにはいられないといった感じで新八が確信に迫る質問をすると、
苗字は固唾を飲んで土方さんの顔を見上げ、土方さんからの発言を待っているようだ。
その様子から俺は、この二人が何らかの関係にあると感じた。
ただ、街中でバッタリ会ったりしただけじゃ、こんな仕種はできないだろう。

苗字の見上げる視線を受け、土方さんは軽くため息をつき目を伏せたかと思うと、
徐に視線をあげ、俺たちに目をあわせ、はっきりとした口調で答える。

「俺は近藤さんトコの学校の教師、で、こいつの息子の担任だ。」

いかにも明瞭簡潔な答えに俺と新八、二人でキョトンと時が止まったように土方さんの言葉を咀嚼する。

ん???
てことは平助の担任ってことだよな?なのにショールームで会ったのが初めて………?
中学の教師と親の繋がりなんてそんなもんか…。
と納得する俺の横で、全然頭の整理が追い付かない男が一人。

「はぃ?なんだって?近藤さんの学校で教師やってて、名前ちゃんの息子の担任?
んん??近藤さんが校長先生で?で?そこの学校の先生が土方さん。……、で?土方さんが担任の先生で?
は?え?意味わかんね…。
は?名前ちゃんの息子?んんん??」

もうなにがなんだかさっぱりな様子で胡座をかき腕を組み頭を傾げて眉間にシワを寄せ悩む。
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