平助の母親
□33.
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☆★うちの土方先生はどうも鬼っぽくなれないなぁ…。なんでかな?★☆
「だぁから、作ったのは俺だけど、やれって言ったのはこいつだっつってんだろぅが」
「えぇえ!?原田さんひどっ!」
「嘘つけ左之ぉ!名前ちゃんがこんなひでぇこと考えるわけがねえってんだろーが!!」
「ぁ……ぅ…」
すいません永倉さん…。
きっと永倉さんが当たるだろうと思って…。
だなんて今更とてもじゃないけど言えなくなってしまった…。
あっさりカミングアウトした原田さんもひどいけど、ここまでわたしのこと信用してくれてる人に、大量わさび入り焼おにぎりを仕込むなんてほんとに酷いよね。
いくらなんでもヒドすぎるよね。
よし、ここは潔く謝るしかない!
「あ、あの永倉さん。その…、すみませんでした!原田さんが言った通り、思い付いたのはわたしなんです。ほんとにごめんなさい!」
紙コップになみなみと注いだお茶を差し出して頭を下げる。
今のわたしにできることはこれだけしかないと思う。
「なっ…!ま、マジでか!?」
「ほらな?おれの言った通りだろ?」
驚く永倉さんに原田さんがわたしの手からお茶を取り永倉さんに渡す。
「苗字もこうして謝ってるんだから、許してやれって」
「お…、おぅ…。」
受け取ったお茶とわたしを交互に見て、吃りながらお茶をひとくち飲む。
「つぅか、考えたのは名前ちゃんでも、わさび仕込んだのはテメェだろうがっ!入れすぎだっつーの!!」
紙コップをぐしゃりと握り潰して机に叩きつけるとマンガのようにプンスカマークを出して原田さんと河原で追いかけっこを始めてしまった。
「ははは、あの二人はほんとに仲が良いなぁ」
「はい。二人のおかげでいつも職場は賑やかで。」
近藤さまと井上部長がまるで縁側でのんびりしているような空気を醸し出しながら和んでいる。
「しかし、苗字さんもなかなか面白いことを思い付きましたね。」
「いやしかし、アレをもし自分が食べていたらと思うと純粋に笑っていられないのでは?」
島田さんと山崎さんが走り回る二人を見ながら話しているのを聞いて、
「あ、それなら多分大丈夫です。わさびを入れたのは一番大きなおにぎりにしたので…。多分永倉さんが最初にそれを選ぶんじゃないかな〜って原田さんが言ってたので!」
にっこりと説明すると二人は成る程と頷いて再度走り回る二人を見守る。
走り回る二人は放置して、残ったみんなでバーベキューを楽しむ。
天気のいい中、ビールや缶酎ハイを煽ってお腹いっぱい。
焼くものも取りあえず終了してみんながそれぞれ思うままの時を過ごした。