平助の母親

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昼休み、今日もクラスの元気組はあっという間に食事を済ませ、グラウンドに飛び出していく。
その中でも取り分け目立つ生徒、平助を廊下で待ち伏せして捕まえる。



「おい、ヘースケ」

「ぐぇっ!」



シャツの襟首を掴んだもんだから、勢い余って首がしまる平助。
首根っこを離してやると膝に手をつき、こちらを振り向き見上げた目を大きく見開く。



「!ひっ!!土方先生!ごほっ!何すんだよっ!」



喉をさすりながら抗議してくるが、お構いなしに用件を伝える。



「平助、お前の親、今日面談日希望していたな。先週末伝えた時間、ちゃんと親に言ってあるんだろうな?」


腕くみして目を細めて平助を見下ろす。
すると平助の顔はみるみる青ざめていってアワアワと口を小刻みに振るわせる。



「…。てめえ、まさかとは思うが…?」


腹のそこから響かせるように低い声で訪ねると、


「ひっ!ひぃ〜!すいませんすいません!月曜日ってことはちゃんと伝えたんだけど、時間までは…。あ、ほら、ちゃんと決定した日時のプリント?もらってねぇし?口で言われただけじゃ忘れちゃうってゆ〜か?」



オレの様子を窺うように後ずさりしながら開き直った発言をする。



「…なんだと、平助。もとはといえば提出期限までにプリント持ってこなかったテメエがわりぃんだろぉがっ!」


眉間にシワを深く刻んで怒鳴る。
オレの怒鳴り声に合わせて飛び上がると、ヒィ〜〜〜!といって逃げられてしまった。



「っ!コラ待てヘースケぇ!」


叫ぶが平助はすでにグラウンドの中心まで移動していた。


「ちっ!…たくっ、時間わからねえでどおするつもりなんだよ。親は家にいるんだろぉな…。」


しょうがねえから自宅に電話してやるかとため息をつき職員室へと向かった。
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