平助の母親
□8.
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近藤さまの車の引き取りから帰ると、一足先に帰ってきて工場に近藤さまの車を納めてきた原田さんがデスクに戻ってきた。
「苗字、おつかれ。悪かったな付き合わせて」
私の手からデモカーの鍵を取ると、キーケースの所定の位置にしまってくれた。
「いいえ。私も近藤さまにお会いできて嬉しかったです。思った通りの方でしたし。やっぱり、いくら電話でお話したり資料で名前を見たりしていても、実際お客様に直接会って話さないとなかなか結び付かないですからね」
いいながら椅子に座ると原田さんは私の横に立ち机に浅く腰掛け腕組をして私を見下ろした。
「しっかし驚いたぜ。苗字に子供がいるってだけで驚きだってのに、まさか中学生とかって!マジかよ!?」
いつもの余裕たっぷりな表情とは違い、なんだか興味津々なキラキラオーラ。あ、こんな顔もするんだ〜。
意外な一面を見れて少し嬉しくなった私は
「はい、マジですよ。この春二年生になりました」
とニコニコで答える。
「二年!マジかよ!?てことは14歳…?………って!おまえいくつだよ!?」
キラキラの興味津々から一気に驚きの原田さん。
「いくつだよって…。女性に年齢聞くなんて、原田さんともあろうお方が。デリカシーないなぁ。」
いつもなら原田さんが永倉さんにいってるようなセリフを言ってみる。
「っ!す…すまねぇ…」
ほんのり顔を赤らめている原田さん。
「ふふっ。別にいいですよ。でも私の歳はご想像にお任せします。特に隠す必要もないんですけど。…なんか面白いのでヒミツにしときます!」
いたずらっ子のように笑って言うと、原田さんは目を見開いたまま一瞬固まった。あら、なんだか優越感?
だけどすぐに元の原田さんに戻って
「まっ、女はヒミツがあった方がいろいろと掻き立てられるもんがあっていいってな」
と言うと私の髪をさらりと掬った。
原田さんの手が首筋に当たりゾクリとする。
「!!!」
そんな私の反応を面白がる原田さん。
「んもぉ〜!セクハラですよ!」
叫ぶ私の声に
「!?何っ!?セク原田とぅっ!?」
島田さんの大福を持って永倉さんが現れた。
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