平助の母親

□5.
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☆★再び朝の通勤電車です。★☆QLOOKアクセス解析





翌朝も、昨日と同じようにぎゅうぎゅう電車に乗り、いつもと同じように押し出される。
今日はうまく電車の横に避難できた。
満足感と安心感で大きく息をつくと、トントン、と肩をたたかれた。



「オハヨ」



振り向くと肩に置かれた手の人差し指が頬にぷすっと刺さった。


「っ!」



その人はびっくりして言葉も出ないわたしの肩を両手で掴んで
「さ、乗るよ」
耳元でニコニコささやかれ電車に乗り込んだ。





「ね、びっくりした?」



空いた席に腰を下ろしながらニコニコ笑顔で覗きこんでくる。


「あんなに見事にひっかかるなんて…。っくくっ!」


ニヤニヤ笑われて何だかちょっと悔しくてジトっと横目で見上げる。



「もぉ…。笑いすぎです。突然後ろから肩をたたかれたら誰だって振り向くでしょう?それに、ほとんど初対面の人にあんな事するなんて…」



ぶぅっと不機嫌な顔になったわたしを見て、さらににやけた顔に輝きが増す。



「ゴッ、ゴメっ…!ぷっ!ごめん…くくっ!ホントにゴメン!そんなに怒らないでよ…」




………。




しばらく収まりそうにないみたい。
私のむくれ顔がツボだったのか肩を震わせて笑いを堪えきれない様子。
隣に座る長身の彼からプイッと顔を反らすと、彼はあわてて座席から背中を離し、右手に体重をかけわたしの目の前から顔を覗きこんできた。



「ホントにゴメン。怒らせるつもりじゃなかったんだ。昨日あんまり話せなかったから今日はどうしても君と一緒に行きたくて…。ゴメンね。痛くない?」



さっきまであんなに笑ってたのにシュンと眉を下げて、つつかれた右側の頬を彼の左手が包み込む。



「なっ!」



パラパラと少しだけど、同じ車両に乗ってる乗客の視線と息を飲む空気が伝わる!

あわてて彼から距離を取り、触れられた頬を押さえる。



「なっ!なっ!なっ!何っ!こんな!公衆の面前で…!ヤだっ!みんな見てるのにっ!」



一気に顔から火が出るくらい恥ずかしくなって、オトナゲもなく大きな声を出してしまった。

すると彼は人差し指をピッと自分の唇に当てて、「しっ!公共の場では静かに。ダヨ」
と極めて真面目な顔つきで言った。



「〜〜〜〜〜っ!」



なんなのぉ!?なんかわたし、スッゴい恥ずかしい人になってるし!どうしてこうなるの!?
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