平助の母親

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4月。新しい職場へ通う通勤ラッシュにも少しずつ慣れてきたかな。
最初はギュウギュウ詰めの電車に乗り込むのも躊躇っていたけれど、今じゃ周りに倣って乗車率150%の電車にダイブ!
一駅目に停車すれば大手企業の大工場で働く人たちがイッキに降りて行くから苦しいのはほんの数分だけ。
この数分間ガマンすれば、あとは目的駅まで席に座ってのんびりと過ごして行けるんだ。

でも、気を付けなきゃいけないのがイッキに降りる人の流れ。
ほとんどの人が降りるから、さっき乗ったばかりのわたしは当然扉が開いた瞬間、電車から押し出されるかたち。
ホントに気を付けないとコレ絶対にマンガみたいにぺっちゃんこになっちゃうかも!

なんて考えてたら駅に到着。
扉が開いて押し出されるように電車の外へ。
いつもなら降りてすぐに電車の横に避難するんだけど、今日はカバンが人の流れに持ってかれそうになって、わたしの体は後ろへよろめいた。

バランスを崩したのと人の流れの早さに圧倒されてうまく体勢を立て直せないと思った瞬間、後ろから誰かがしっかり支えてくれた。

この駅では降りる人がほとんどで、電車に乗る人なんていないと思ってたから、まさか後ろに人がいるなんて!

ビックリして支えてくれた人の顔を振り返って固まっていると、



「ほら、早くしないと閉まっちゃうよ?」


クスッと笑って軽く背中を押され一緒に電車に乗り込んだ。





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