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□トレーニング
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僕が見たキュヒョナの顔は、


今そこに在る痛みと、
これから襲ってくる痛みへの恐怖に耐えるかのような表情だった。


きっと、僕も同じ顔だったろう。







これは僕らのトレーニング。



どんなに頑張っても2年。長ければ4年。
僕らには別れの時間があるから。





必ず来る別れのためのトレーニング。





それまでの時間は貴重だから、少しでも一緒にいたい。

そう思う気持ちは、強い。




でも、隙間なく合わさったものを引き剥がす方が、痛みが大きいでしょう?





ずるくても卑怯でも、

弱い僕はきっと、その痛みに耐えられないから、今のうちに訓練しておかなくちゃいけないんだよ。


僕も、

君も。





君と居られる今のうちに、

少しずつ… 少しずつ…






君といつでも話せない不自由さに、慣れる。


君の笑顔が見たくても見られない距離に、慣れよう。


君の寝息が聞こえない夜に、慣れないと。


君の匂いがしない部屋に、慣れなきゃいけないんだ。








「君がいない」








その痛みを、

心臓が止まらない程度にするまで、

僕らはこのトレーニングを何度も、何度も繰り返す。








この頬を伝う雫が乾くまで、何度も。






End.
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