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□消えない過去、見えない未来
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「ただいま〜」


「おかえりなさい」




部屋に入り、ジャケットを脱ぎながら僕が言うと、パソコンでプレイ中のゲームから目を離さずに彼が答える。




「そっちの仕事は今日どうだった?」


「う〜ん、ちょっとトラブルがあって大変でしたね」




キュヒョンが今日あったことを思い出すために、少しゲームから目を離し、宙を見上げる。




「トラブル?」


「機材を積んだトラックが事故にあったらしくて、撮影が2時間遅れで始まったんですよ」


「事故? 怪我した人はいなかったの?」




―事故。この言葉は嫌いだ。



毎日毎日なにかしらのニュースで流れる言葉だが、身近なところで起こるほど、あの日のことが頭によぎる。


僕だけじゃなくて、僕らメンバーみんなきっと同じだと思う。




ただ、あまり口に出さないだけで。
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