サンナミパラレル

□人生変わりました
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ジジイが経営してるレストランを継ぎたければ帳簿くらいつけられるようになれと半ば無理矢理大学に入れられた俺は。
意外にも、気の合う連中と知り合ってサークル活動なんぞしてた。
その名も「冒研」(冒険研究会)。
どうやって大学の承認が下りたのかわからないがそれでも大学公認のサークルで部室のような溜まり場まであった。

冒研の活動は、馬鹿騒ぎのみだ。
大学や自治体の行事に参加し、クラブでのイベントも企画する。
その度に大騒ぎをし警察官に説教されることもしばしば。
馬鹿さの規模がデカイからかなかなかメンバーは増えなかったが、それはそれで居心地が良かった。

そんな日々を過ごしているうちに3年生になった俺の目の前に、大学の用務員のくせに部長というルフィの、昔からの知り合いというナミさんが新入生として現れた。

この上なく美しいお顔と、素面では直視できないような魅惑的なボディ。
下心を持って近寄ってくる男共を指一本触れさせずに食い物にする魔性。
俺はすぐに虜になった。

冒研の他の奴らは信じられないほどアッサリと彼女を「女」としてではなく「仲間」として見るようになったが俺は違った。

風が吹けば自分の上着をそっとナミさんの肩に掛け
(寒暖拘わらず肌を隠さないナミさんが好きだ!)
常に最善のタイミングで飲み物や軽食をサーブし
(ナミさんのために最低限の調理器具は部室に持ち込み済みだ!)
美しすぎる脚を疲れさせないようアシになる
(おかげで二輪から四輪に乗り替えたぜ!)

そんな尽くす日々の中、俺は重大な事実に気付いた。

それは。

それは。

ナミさんが確実に処女だということだ!

俺は今まで女性に処女性など求めていなかった。
女性は女性であるだけで美しいからだ。
だがしかし!

あああ、このことに気付いた時の俺の衝撃をどう表現すればいいのか。
とにかく我に返った時には、その当時お付き合いしていた愛しい女性に別れてくれと告げていた。

この俺が自分から女性をふるなんて、それまでの21年間の人生で有り得ないことだった。
それまで俺は俺を求めてくれる人と、その人が俺に愛想を尽かして俺の元を去ってしまうまで誠心誠意込めてお付き合いをすることを信条にしていた。

勿論浮気だってしねえ。
だけど、世界中の女性に尽くすことが俺のアイデンティティなもんだから。
愛しい人がそのことで不満を唱えても、彼女をもっと大事にすることはできても他の女性達を蔑ろにするなんてどうしてもできない。
結果、俺のことを愛してくれる人ほど長続きせずに去ってしまう。

そんな恋愛を繰り返していた俺が。
自分から女性をふるなんて。



俺はナミさんが処女だったから本気になったんだろうか。
いや違う。
きっともっと前から本気になってた。

派手な外見に派手な立ち居振舞い。
その輝くばかりの見た目に隠された、繊細さ優しさ情の深さ。

そういったところを1つずつ発見していくうちに夢中になってた。
目が逸らせなくなってた。
そんな中で知った更なる事実に、きっと、清らかなナミさんに見合う男になりたくなったんだと思う。


それからも俺の女性に対するジェントル精神こそ変わらなかったが。
俺は女性に触れなくなった。
いや何か手助けをする際に手や肩を貸すことはあるが…性的な触れ合い、とでもいうのだろうか、とにかくそういったものは一切なくなった。

次にヤるのはナミさんだ!!









そう決心した俺は。
5年後には、すっかりレンタルビデオ屋と動画サイトのお得意様になっていた。


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