社会人パラレル

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12月3週目の金曜日19時。
忘年会シーズンの金曜日の街が賑わっていないわけがない。
ビビは、ゾロとの約束の時間ピッタリに約束の場所で人だかりに埋もれていた。

ゾロは自分の顔を覚えていないかもしれないのに、週末にこんな代表的な待ち合わせ場所で落ち合うのは不可能ではないだろうか?
ふいにそう思いついた今週月曜日、ゾロに連絡をしようとしてその時初めてお互いの連絡先を交換していないことに気付いた。

ゾロの電話番号もアドレスも知らないという事実に、ビビは急に不安になった。

見ず知らずの酔っ払いの自分を介抱してくれた彼に対する無礼の数々。
馬鹿にしていると思われても仕方ない寸止めと、股間潰し。

どう楽観的に考えてもゾロが自分に好意など抱いているはずがない。
そんな人が果たしてあんな口約束1つで待ち合わせに来てくれるのだろうか。

絶対に来てくれなだろうと思いながら、それでもビビにとってゾロは久しぶりに「いいな」と思える異性だったから今日は21時までは待つつもりだ。
そして万が一来てくれたらせめて少しでも仲良くなれるよう努力しようと決めている。

といっても、先週のゾロの様子だと来てくれたとしても目的はわかっている。
行為事態にはそれほど抵抗がないものの、その先のことを考えるとやっぱり自分はゾロとは縁がないように思えて、ビビは深い溜め息を吐いた。

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約束の時間から5分後。
人だかりから少しだけ飛び出た緑色の髪が見えた。

短い髪を軽く後ろに流しているから、この間会った時より堅い雰囲気だけれど見間違えるはずがない。

来てくれた!

他人にぶつからないよう、そろそろと歩きながらも気が逸る。
ビビはようやく人だかりを抜けると、目を細めて当りを見回しているゾロに向かって駆け出した。

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