社会人パラレル
□1ーE
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だがしかし
その時
昨夜自分が風呂に入っていないことを思い出した。
しかも話によると吐き散らかしたうえに便器に突っ伏して寝ていたという。
泥酔した状態では自分の吐瀉物が髪や手や胸に飛んでいても気付かなかったに違いない。
更にこの無駄に長い髪がトイレの汚水に浸かっていなかったはずがないではないか、なんせ泥酔して便器を枕に寝ていたのだから。
ザワッ
ビビは全身の毛穴の開く音、というのを生まれて初めて聞いた。
これ以上臭くなんてなりたくないのに、一気に汗が噴出すのを感じる。
そんなビビの心境など知らないゾロが、ビビの頬に手を添えた。
……………。
「だめえ〜〜〜〜〜〜!」
力一杯叫びながら、渾身の力でゾロを突き飛ばした。
大人しくされるがままになっていたビビに油断していたゾロは、見事にフローリングに頭を打ち付けられ、ゴン、とあまりよろしくない音が部屋に響く。
「きゃあ、ごめんなさい!」
あまりの音に我に返ったビビは、自分で突き飛ばしておきながら急いでゾロを抱き起こした。
「〜〜〜〜〜ってえ!今度は何だ!」
「だって!昨日お風呂に入ってないし吐いたまま歯も磨いてないから、絶対汚ないし、…臭いもの」
真っ赤になって尻すぼみに言い訳をするビビに、なんだそんなこと、とゾロは憤慨した。
再び腕に力を入れてビビの腰を引き寄せようとしてくる。