未来捏造
□2-ゾロ+ナミA
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『毎晩精が出るわね』
夜中にトレーニングをしていたゾロは、一息つくのを見計らったように声を掛けられ、そちらに目を遣った。
声の主はわかっている。
それでも、頼んだ覚えもないのに大判のタオルと水のボトルを差し出しているビビと目が合うと自然に薄く笑みが浮かんだ。
『悪いな』
水を受け取るとゴクゴクと喉を鳴らして飲む。
タオルは使わないままビビの頭に乗せてやった。
『ここらへん寒みぃから被っとけ』
どうせまだ寝ないんだろ?と見下ろすと、ビビは不機嫌に顔を顰めた。
『何言ってるの。ここらへんは寒いんだからちゃんと汗を拭いて』
言うと同時にタオルをゾロの顔に押し付けてくる。
『おい』
目一杯背伸びをしたビビが、母親が子供にするようにゾロの頭をゴシゴシ擦り始めた。
少なからず驚いてゾロは抗議の声をあげたが、それを無視してビビはゾロの腕を引っ張る。
『ちょっとここに座って』
急に座れと言われて意味がわからないながらも、思わず言われた通りに甲板に腰を下ろした。
『はい、ばんざーい』
これにも何故か身体が動いてしまい手を上げる。
すると。
勢いよくシャツを脱がされ上半身裸になってしまった。
『おい』
先ほどより幾分大きい声を出す。
そこへ、ふわりとした肌触りがゾロを包んだ。
『はい、このタオルはあなたが被っておきなさい』
しゃがんでゾロと目線を合わせたビビが再度ニコリと微笑んだ。
ビビの顔の近さに、手を伸ばしたい衝動が湧く。
それを大袈裟な溜め息で誤魔化して無理矢理押さえ込んだ。
『お前は強引だ』
苦笑いを浮かべて水を飲む。
同時に自分の中に湧いた熱も飲み下す。
『それに頑固だ』
その言葉を聞いて、ビビは余裕の笑みを見せた。
『ありがとう、それは私にとって誉め言葉よ』