未来捏造

□1-ビビA
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夜気ですっかり冷えていた身体に、じわりとゾロの熱が伝わる。

「俺の方が不満だった」

ビビの耳元でゾロの声が響いた。
近くで聞くゾロの声は低くて、ビビは今度は身体を震わせた。

「俺は、お前に縋って欲しかった。それなのにお前は歯ぁ食いしばっていつも1人で踏ん張ってた」
「…」
「時計台で泥まみれで泣きながら叫んでるお前を見て、こんな綺麗な奴を初めて見たと思った。見惚れた」

熱の篭ったゾロの声に、ビビの身体に伝わるゾロの鼓動の早さに、ビビはゾロの気持ちを知る。
口元を押さえていた両手を恐る恐る広い背中へと回し、嬉しい、と呟いた。

「…好き」
「遅えよ」
「…ごめん」

どうして今までこの気持ちに気付かずに居られたのだろう。

「大好き」

言葉にせずにはいられない。
何度言っても足りない気がして、馬鹿みたいに繰り返した。

「Mr.ブシドー、大好き」
「ああ」
「ねえ、好きなの」

ゾロが低く笑ったのが、身体全体を通して振動として伝わってくる。
それだけ近くに居られることが嬉しくて、ビビはゾロの胸に自分の額を押し付けた。

「もうわかったから言うな。あんまり言うと、我慢しきれず食っちまうぞ」
「我慢…してるの?」
「そりゃするさ」
「我慢なんてしなくていいのに」
「お前、意味わかってねえだろ」

まずビビが驚き、次いでその返答を聞いたゾロが思い切り顔をしかめる。

「…」

ビビは思案するようの数秒視線をさ迷わせるとニコリと微笑んだ。
その邪気のない笑顔にゾロはガックリと首を落とす。

それを待っていたかのように、ビビはゾロの背中にやっていた両腕を太い首に回し思い切り背伸びをした。
それでも届かない分は、多少強引にゾロの首を引っ張ることで屈ませる。

そのままゾロの唇に自分のものを重ねてやった。

木偶のように唇を合わせたまま動きを止めたゾロ。
ビビは反応を促すように、閉じられているゾロの唇を軽く舐め、ピクリとゾロの身体が揺れるのを感じとると、あっさりと身を引いた。

「わかってる、つもりよ?」

こちらを凝視しているゾロにもう1度ニコリと微笑んでみせる。
すると目を丸くしていたゾロがニヤリと笑った。
ぐいとビビの腰を引き寄せ、わざと下半身を密着させてから鼻同士がぶつかるほど顔を寄せる。

「上等だ。お前が何をどこまでわかってるのか、確かめてやるよ」

抱き合ったまま黙ること数秒。
ゾロがビビの喉元に噛みついた。

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