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□0.殺し合いのゲーム
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何故こうなったのか、俺にはわかりません。ただ一つわかること。それはこの最悪なゲームに、我々の顧問である榊先生が関与しているということ…。正直信じられなかった。しかし、あの言葉が俺たちに確信を与えたのだ。









0.殺し合いのゲーム









「単刀直入に言おう。君たちに殺し合いをしてもらう」



榊先生の口から出た言葉に俺たち氷帝部員だけでなく、青学、立海、四天のみんなが呆気に取られていた。



「…どういう、ことですか、先生…」



途切れ途切れに跡部さんが問う。榊先生は氷のように冷たい瞳を跡部さんに向けた。見たことのない榊先生に俺は恐怖心を覚えた。



「簡単なことだ跡部。暇潰しだよ」



さも当たり前のように話す榊先生の言葉に、跡部さんの顔が強張る。俺も多分跡部さんと同じ顔をしているだろう。何を言っているんだこの人は…。先ほどの恐怖心よりも今は憤怒の心が勝っていた。



「先生何を言ってるかわかんないC〜」
「芥川…」
「俺たちに殺し合いとかできるわけないじゃん。先生、今まで俺たちの何を見てきたの?」



今まで寝転がっていた芥川さんが身体を起こして榊先生を睨んだ。口調もいつものふざけた口調じゃない、どこか怒りのこもったものだった。芥川さんの言葉に鳳が激しく頷く。



「先生!こんなことやめてください!先生は…先生はそんな方じゃない!」
「長太郎…」
「誰かに脅されているんですよね?誰ですか?先生…答えてくださいっ」
「やめろ長太郎!」



榊先生に詰め寄る鳳を、宍戸さんが必死に食い止める。鳳は頭に血が上っているのか、珍しく相手の胸ぐらを掴む行為にまで走っていた。



「鳳、残念ながら私は脅されてなどいない」



榊先生の手が鳳の腕を引き剥がす。



「これは政府からの命令なんだよ。私はそれに従うのみ」
「先生…」



力なく床に膝をつく鳳を宍戸さんが抱え込む。鳳は青ざめた顔で一点を見つめていた。



「では諸君、始めようか。殺し合いのゲーム、『バトルロワイヤル』を」
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