BRAVE10

□第1戦
3ページ/9ページ


巫女は寂しそうに黒髪の男の後ろ姿を見つめている


なーんでこんなことになるのかねぇー
まさかこんな展開になるとは……


「なによぉ!男だったら助けてやろうとか思わないの!情けない!」


巫女は止まってもらおうと必死に叫ぶ
最後の言葉に怒ったのだろう
振り返り眉間にしわをよけ応える


「人聞きわりぃな、助けてやっただろ
だいたいなんだてめぇ…
礼の一つもなしで"情けない"とか普通言うか!
ソイツも困ってやがるし」


「お礼?そうだねぇ?」


久遠は黒髪!もっと言ってやれ!と思いつつもこっちの方がおもしろそうだと思い黙っていると
巫女は名案を思いついたように言った


「じゃぁさ、アタシと一緒に信州上田までいかない?三人で!」


久遠はがっくりと肩を落とし黒髪は顔を引き攣りながら呟く


「人の話し聞いてんの?」


「お礼におそば奢ってあげるってのはどう?」


にこやかに微笑みながら提案する
するとちょうどいいタイミングで黒髪の男のお腹が大きな音をたててなった


「お腹空いてんでしょう?」


勝ち誇ったようにニコリと巫女は微笑み
黒髪の男は気まずそうにそっぽを向いた

久遠はそれを見て思わず吹き出してしまったのだった


「っな!笑うな!」


笑われたのが恥ずかしかったのか顔をほんのりと赤くしている


「ね、あなたもいいでしょ?」


巫女はキラキラと期待の篭った目で見つめ
黒髪の男は一人だけ逃げるなんて許さないとでも言うように睨みつけてくる


『いいよ、暇つぶしに良さそうだし』


そーして仲良く三人で信州上田まで行くことになったのだった






.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ