BRAVE10

□第1戦
2ページ/9ページ


『後ろ失礼!』


久遠はナイスアイデアの通り黒髪の男の後ろに身を隠した


「お前なんだよ?」


『ただの旅人さ』


「そんな風に見えないくらい怪しいけど」


黒髪の男に巫女をぐいぐいと押し付けながらケラケラ笑い答える

すると追っ手の忍び達が追いついた


「お前達には関係ないがその女を見たのが不運
消えてもらう」


『またそれ?僕飽きちゃったんだけど?
お前等弱っちいし』


「目撃者必殺ってわけか
てかお前聞くの二回目なのか?」


黒髪は
なんだよそれ、かっこわる
とダメだしをする
次の瞬間忍び達はクナイを黒髪へと一斉に投げた

ちなみに久遠は木の枝に座って戦いを見学するつもりだ


黒髪は巫女を担ぎ一瞬で剣を抜き一発でクナイを全て叩き落とした


"オンマリシエイソワカ"

黒髪が何やら唱えると剣が青白く光文字が浮かび上がった


『この感じ…近頃噂の摩利支天かな?』


実際本当に摩利支天である
続いて再びクナイが投げられた



"奥義天唾返し"

それはクナイを持ち主の頭へと一寸も違わずに戻っていった




終わると黒髪の男――摩利支天の使い手は木の枝に座っている久遠のことをじっと見た


『あんた強いね!僕感動しちゃったよ!』


久遠はぱちぱちと控えめな拍手を黒髪へとおくる


「どーも」


黒髪の男は久遠の賞賛の言葉を聞くと巫女を地面へと降ろした


『じゃあ僕はこれで』


「俺も」


黒髪の男は担いでいた巫女をその場に下ろすと何やらぶつぶつと言いながら歩き始めた
それと一緒に久遠も違う方向へと歩き始めた


「ま、待ってよ!」


巫女が焦ったように二人へと声をかける
黒髪の男は人がいいのか声をかけられ振り向く
しかし、久遠はというと
声をかけられたにもかかわらず止まる気配もなく道なき道を進んでいく

それを見兼ねてか水色の髪をもつ巫女は久遠のマントを掴み
黒髪の男のもとへと連れていく


『何、僕関係ないんだけど』


めんどくさい、と呟き嫌そうな顔をする
まぁ全く顔が見えていないのだが


「二人とも、そんな強いんだったら女の子一人守るぐらいお手の物でしょ?
またいつさっきの奴らみたいなのに追われるかわかんないし、お願い!
一緒に来て!」


「しらねぇっつの」


そう呟くと黒髪の男は再び歩きはじめてしまった
久遠は歩きたくても巫女がマントをしっかりと掴んでいて歩くことが出来ずにいる


いくら久遠とはいえ力のない女・子どもを傷つけることは少ないのだ






.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ