「う…え…?」

 目の前に出されたそれを、ジローはじっと見つめた。

「これ、食べるの?」

 恐る恐る、俺を見上げる。

「あぁ。食えんだろ、これくらい」
「…マジ?」

 ジローの目の前に出されたもの。

 それは、トマトだった。

「また、食べんの…?」
「食えよ」

 ジローはちょっと泣きそうな顔になった。

「小さいんだからよ」

 ミニトマトを出した。
 前回は普通のトマトだった。
 大きくなければ食べられるのではないか、と思ったのだが。

「ちょっと…跡部、何でそんなに俺にトマト食べさせたいわけ?」

 ミニトマトが5粒乗った皿をくるくると手で回しながら言う。

「俺の恋人がトマトも食えないんじゃ恥ずかしいだろ」
「そういうもん?」
「そういうもんだ」






[TOPへ]
[カスタマイズ]

©フォレストページ