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□10月31日・Trick or Treat!〜キセキの場合〜
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キーンコーンカーンコーン♪


チャイムの音が今日1日が終わったことを告げる。

放課後、我が帝光中学は部活の時間だ。だが、帰宅部のあたしは帰るだけ。

ここの中学は部活動が盛んで、特に男子バスケ部が強いのだが、バスケが分からないあたしは、はっきり言ってなんとも思わない。



「・・優璃さん。」

『え?どうかした?黒子君。』



そんなことを思いながら、帰り支度を済ませていると同じクラスの男子バスケ部・黒子テツヤ君が話しかけてきた。

彼は同学年のバスケがめちゃくちゃ強いやつら「キセキの世代」にも一目置かれている存在・・・らしい。

彼はその影の薄さを利用したパス回しが得意。・・・らしい。

その影の薄さのせいで誰にも気づかれないことが多い・・・らしい。

でも、あたしは普通に黒子君を識別(?)できる。本当、普通に。普通の人間と同じようにして見えるけども。

「キセキの世代」以外で彼を識別できたのは、あたしが初めて・・・らしい。

って、さっきからあたし、語尾に「〜らしい」ってつけすぎじゃない?



黒子)「・・・優璃さん?」

『・・あぁ!ごめん!!ちょっと考え事してた。』



辺りを見回すと、教室に残っているのはあたしと黒子君だけだ。



『黒子君・・部活はいいの?』

黒子)「少しくらいなら大丈夫です。」

『そう。・・で、あたしに何か用?』

黒子)「はい。優璃さんは今日何の日か知っていますか?」

『そのセリフ、今日結構言われたからなー。分かるよ。ハロウィン、でしょ?』



今日、10月31日はハロウィン。

友達とかからもう何回言われたことか。



黒子)「そうです。ですから、“Trick or Treat”です。」

『えっ・・・!?』



正直、びっくりした。

黒子君がまさかこんなことやると思わなかったし、それにお菓子も持っていない。

友達に全部あげてしまったのだ。



『ごめん・・友達に全部あげちゃって、お菓子持ってないんだ・・・。』

黒子)「そうですか。それならいたずらさせてもらいます。」

『え゛』

黒子)「“お菓子をくれなきゃいたずらする”。これはそういうものでしょう?」

『そ、そうだけど・・・。』

黒子)「でも、僕はいたずらする気はありませんので。」

『え・・?』



せっかく身構えてたのに・・・いたずらなし?



黒子)「その代わり、僕のお願い聞いてもらえませんか?」

『あたしにできることなら・・・。』



あたしにできること、と言っても少ないけど←

なんだろう?なんか奢れ、とか?いやいや、黒子君に限ってそんなことはしないでしょう!



『それで、お願いとは?』

黒子)「好きです。」

『はい、好きです、ねー。』

黒子)「僕と付き合ってください。」

『はーい、付き合って、付き合ってねー。・・・えぇ!?!?

黒子)「優璃さん、声が大きいです。」

『あ、ごめんなさい・・・じゃなくて!!い、今の・・!!』



い、今のって、俗に言う・・・!!!



黒子)「?・・告白ですけど?」

『ギャーーーー!!』



この子、サラッと「告白」って言ったよ!!

やっぱり、あれ、告白だったのか!?

いやいやいやいや!!なんであたしに!?

はっ!もしかして、罰ゲームであたしに告白してこい、とか言われたのか!!



黒子)「あ、すいません。そろそろ僕は部活があるので失礼します。とりあえず・・・考えてみてください。
僕は真剣ですので。」



そう言って黒子君は、自身のスポーツバッグを背負い、教室から出て行った。

黒子君の足跡が聞こえなくなった途端、足に力が入らずそのままへなへなと座り込んでしまった。


黒子テツヤの場合。
ヤバイ。今、絶対顔真っ赤だ・・・///


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