Short Story

□「証」
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『はぁ、はぁ・・・』

「もう終了かい?まぁ、これでも随分と粘った方かな?」

『はぁ、はぁ・・赤司、く、ん・・・。』



隙をついて逃げようと試みたが、結果は同じで逃げられない。赤司君には全てお見通しなよう。

あたしを自分と壁の間に挟んで、両手はあたしの顔の横。

ダメだ・・・逃げられない。



赤司)「何で僕から逃げるんだい?」

『・・っ!いやっ・・・!!』

赤司)「・・質問に答えてないね。答えられないような悪い子には・・・」



「おしおきだ」とあたしの耳元でわざとらしく続きの言葉を紡ぐ。

その言葉と彼が自分の懐に手を伸ばす仕草を見て、本能的に恐怖を感じた。


無意識に、本能的に・・・。


やはりあたしの勘は間違っていなかったらしい。彼が懐から取り出したのは、愛用のハサミだった。



赤司)「何をそんなに怖がっているんだい?いつものことだろう?」



そう言って笑う赤司君の笑顔に背筋が凍る。そして、あたしの左腕にある「証」もうずく。

「証」とは彼があたしの左腕にハサミやらカッターやらでつけた痕。

それはもう、見るのも無残なほどで・・・。



『・・・!!』



いつの間に・・・。

赤司君があたしの左腕の袖を静かに捲りあげていた。

そして、あたしの「証」にその手が触れる。



赤司)「美しいな・・・美玲が僕のものだっていう印だ。」



うっとりとした表情を浮かべ、あたしの左腕を愛おしそうになでる。

・・・否、左腕の「証」を。



『    』

赤司)「ふっ・・・僕がそうなら、君もそうなんじゃないか?」



あぁ・・そうか。彼が「    」ならあたしも同じなのか。あたしも、彼と同じ・・・。


はぁ・・・カッターよりもハサミの方が痛いのに。



『    』

赤司)「どうもありがとう。」



もう一度繰り返した言葉に、極上の悪魔の笑みを浮かべながら、

彼はあたしの左腕に刃を突き立てた。


「証」
彼もあたしも同様に「『狂ってる』」

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